腕時計上級者を目指す、ビギナーと中級者のブログ

月: 2021年11月

100万円超えの腕時計を購入することは、バカでは無い!

こんにちは、Goroです。僕ら「時計好き」は、世間の感覚と比べ明らかなズレがあると日々感じます。そのギャップは「100万円超えの腕時計を普通」と感じる点です。これは高額な時計を常に見聞きしている事が要因でしょう。でも実は時計を突き詰めていくと100万円超えの腕時計に行き着きます。さてその理由はなぜでしょう。

100万円超えの腕時計、富裕層ばかりが買うものではない

https://www.pexels.com/ja-jp/photo/242246/

まず、世間一般で言われる、時計愛好家は富裕層もしくはそれに準ずる人たち、という意見から検証しましょう。

野村総研が2020年に実施したアンケートでは1億円以上の「純金融資産保有額者」を日本では「富裕層」と位置づけているそうです。おおまかですが、全人口の約2%と同シンクタンクは算出しています。

しかし、その全国民の2%にあたる富裕層全員が、腕時計に興味あるわけではありません。僕の予想ですが、その富裕層の中でも数%の人たちしか興味が無いと考えます。

そもそも腕時計を客観的に見た場合、富裕層とはいえ100万円以上の費用をかける事はナンセンスです。巷にはスマホ、街中に時計表示は溢れており、時間を知るためだけに100万円以上の費用支出は実用的とは決して言えません。

富裕層の多くが高級車などの高額商品を購入するのは実は節税対策です。皆が皆、車に興味がある訳ではありません。特に高額商品の中でも高級時計の費用計上は会計上困難で、「富裕層だから高級時計を買う」という理由は成立しないでしょう。

100万円超えの腕時計購入者は基本時計愛好家

私物の書籍

ではどんな人たちが100万円超えの腕時計を購入するのでしょう。答えは極めて簡単、腕時計に興味を持つ「愛好家」たちです。一般の人には理解されませんが、時計愛好家が100万円超えの腕時計購入に行きつくのは自然な流れです。

繰り返しになりますが、数学で言うところの高級腕時計購入者は富裕層の必要条件であって、十分条件ではありません。つまり、高級腕時計購入者が必ず富裕層では無いのです。中間層の人も居れば、それ以下も居る。借金して購入する人も大勢いるでしょう。

情報が豊富かつ入手しやすい社会になった

ラップトップでパテックフィリップのコレクションも簡単に調べられる

では時計好きあるいは愛好家たちはどのようにして100万円越えの腕時計に到達するのでしょう。いちばんの要因は時計を直に見て触れるか、情報を手に入れるかだと思います。一般的に考えると情報の入手が購入へと結びつく一番の要因です。

最近はインターネットの普及、中でもSNSが彼らの購入に大きな影響を及ぼしています。

紙媒体(雑誌・ブックレット)のみの時代は、時計の画像は「公式画像」しかありませんでした。それに対してSNSでは所有者しか見る事ができなかったアングルの画像が、瞬く間に世界中へ文字通り、共有(シェア)できます。

また公式画像というのは意外に実機とは異なる物が多いのです。そのため店舗で見てがっかりする事例もよく聞きました(逆もあり)。ただ、生産数が少ないブランドは仮に店舗まで足を運んでも見られないことが多いのです。

パテック・フィリップオーデマ・ピゲヴァシュロン・コンスタンタンブランパンブレゲと言った年間数万本しか生産しないプレステージ・ブランドが100万円越えのモデルを多く生産しているメーカーです。

これらブランドの人気モデルは、スイスから日本へ輸出する本数も少なく、かつてはブランドの顧客以外は見られなくメディアでも紹介されないこと多かったです。

しかしSNSを屈指すればそんな希少モデルの情報誰もがスマホ一つで、効率よく得ることができるようになりました。SNSは時計情報の裾野を大きく広げ、名門ブランドの認知度アップにも多いに貢献しました。

パテック・フィリップ広告展開の変化、潜在顧客の掘り起こし

https://www.patek.com/en/home

一方メーカーの広告への取り組みにも変化が見られてきました。前述したようにプレステージブランドは生産本数が少ないことから、これまで古くからの顧客を何代にも渡り継承する営業スタイルを信条としていたのです。

時計も高額で、対象を貴族や権力者と言った今で言う「セレブリティたち向け」と考え、末裔まで半永久的に販売していました。そのため積極的に外部へ情報発信する必要も無く、「馴染み客」のみへ情報を知らせていれば良い、時代が長く続いていました。

実際1990年以前まで、日本国内で同社の広告を見る機会は殆どありませんでした。下の写真は珍しい1977年の広告(日本代理店)です。

1977年当時のパテック広告・筆者私物書籍より

しかし顧客ターゲットをよりワイドにシフトする、いわゆる潜在的顧客の掘り起こしを始めたのです。

例を挙げるとパテック・フィリップは1996年から「ジェネレーションズシリーズ」として広告展開を改革します。時計本体を前面に押し出さないブランドイメージを印象付ける内容が特徴です。リンク先と写真を比較してください。

これは代理店変更による産物でした。この変更はパテック・フィリップの危機感の表れだったのでしょう。長年のパートナーを変更する事自体、名門ブランドではあまり見られない決断、しかし今となっては「英断」でした。

この広告展開の変化によって、パテック・フィリップの認知度もより広く知れ渡るようになりました。優れた製品である同社のモデルは潜在顧客の掘り起こしに成功、さらに多くの時計愛好家を生み出します。売上も広告効果でアップしたそうです。

工作機械の発展、ベーシックレンジブランドの品質向上

さらに2000年に入ってからの時計工作機械の性能アップも時計愛好家たちを100万円超えの腕時計へとよりシフトさせます。

これまで時計愛好家が求める価格帯は圧倒的にミドルレンジ(100万円~50万円ほど)でした。「手の届く高級時計」と言われ、メーカーにとってもこの価格帯は「金脈」でした。

それ以下のベーシックレンジ・ブランドは大量量産に特化して、価格を下げていました。

ミドルレンジ・ブランドは量産できる工程は工作機械に委ね、手作業しかできない工程を熟練職人が仕上げるのが一般的でした。これにより、高級感のある製品を一定数量以上生産することで、販売価格帯を抑えていました。

しかし、最新の工作機械は手作業でしか表現できなかったミクロン単位の仕上げ調整が可能となり、ベーシックレンジブランドの仕上げ技術はミドルレンジ(場合によってはそれ以上)を凌ぐほど大きく向上したのです。

つまりベーシックレンジの製品はミドルレンジと同等、もしくはそれ以上の製品を提供できるようになり、ユーザーもその事に気付いてきました。結果敢えて高い価格の時計よりも価格も安く高品質なベーシック・ブランドへ流れるようになったのです。

ユーザーの目利き力アップも要因

https://www.pexels.com/ja-jp/photo/10356533/

前述した情報量のアップ、さらに工作機械の性能向上による仕上げレベルの向上によって、ユーザーの「時計の目利き力」は年を追う毎にアップしています。こうなるとベーシックレンジ経験者は次の時計をミドルレンジスルーしてプレステージへ流れるはずです。

ベーシックレンジで、ミドルレンジの質感を体験しているわけですからね。敢えて、ミドルレンジに費用投下するより、その費用をプレステージ用としてプラスする方が、費用効果もあり現実的です。

リテイラーネットワークの変化も追い風に

https://www.blancpain.com/ja/points-sale/furanhan-futeitsukubanjiumetabendian

そして腕時計販売、最前線のリテイラー網の変化も見逃せません。現在主流のブティックはブランドの直営店化が進み、ユーザーの声がダイレクトに本国スイスまで届く事が特長です。

そして過去記事にあるブティック化こそが、ブランドが求めていたマーケティング・データーを集め解析できるデバイスになっていると僕は思っています。老舗名門リテイラー経由の場合、個人単位では無く、どうしてもファミリー単位でのマーケティングになるはずです。

直営になり最新の手法でピンポイントかつ個人の嗜好を汲み取ってもらうことは、愛好家が求めている物と合致するマーケティング手法そのものだと僕は思います。

まとめ

情報が溢れる21世紀の腕時計愛好家は遅かれ早かれ、100万円超えの腕時計へ到達する時代になっています。この腕時計の2極化はザ・アワーグラス・ジャパン社長、桃井さんも雑誌でそう答えているので、間違いないでしょう。

時計愛好家の皆さん、あなたが今購入しようとしている「100万円越えの腕時計」は自然の成り行きなのです。世間の冷たい目に負ける事無く、自信をもって購入してください。

老舗百貨店の60回無金利ローンから考える、高級腕時計の国内事情

先日僕は阪急百貨店の6階で衝撃を受けました。「60回無金利」というポップがほぼ全てのブランドの売場で掲示されていたのです。これは驚きと同時に日本がいかに不景気の波に飲まれているか再実感した瞬間でした。しかし腕時計って売上が伸びているのでは?どういう事か、詳しく紹介します。

高級腕時計売上、対前年増のカラクリ

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日頃からTV新聞を見ている人にすれば、高級腕時計ってコロナ禍でも「伸びている分野」と誤解している人も多いでしょう。確かに今年春ごろに発表されたTVニュース、対前年比では伸びています。

しかし冷静に考えれば比較する前年の春(2020年3~5月)はまさにコロナ禍、百貨店はやっと緊急事態宣言から営業を細々と再開した付近でした。つまりどん底状態の頃の数字が基準になっています。

そんな状態の百貨店の売上を基準に「アップした」と言う事自体おかしな話です。これはあたかも会議の席上で中間職の面々が経営幹部へゴマカシ数値を報告する姿と重なります。

ちょうど時期的に大手マスコミ(テレビ・新聞)が「ロレックス高騰」などと煽っていた時期と重なるので、ワイドショー受けの良い高級時計=けしからん的報道のひとつだと僕は考えます。

要は「作り上げられた対前年増」だと僕は考えています。最前線にいる(時計売場)店員さんからしてみれば、「増えた減った」の話をすること自体ナンセンスと言われそうです。

趣味こそ、こんな時代を勝ち抜く術?

もう一つ同調できない意見をあげるとすれば、コレクターに対する世間の見方です。日本ではコレクターや愛好家を奇異の目で見る人たちが数多く存在します。

例えばアニメや漫画コレクターはオタク、絵画や骨董品収集家は成金、というような具合です。

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確かに趣味に情熱を注ぐ事は興味が無い人たちにとっては理解できない事でしょう。だからといって否定するものでは無いと僕は考えます。むしろ趣味やくだらない事から新たな産業イノベーションが発生するのです。

それゆえ僕は趣味こそ、この時代最も大事にしなければならない事柄だと思います。多様性こそが重要なのです。昭和の時代は趣味など持たず仕事に専念する人ほど素晴らしいと、周囲からは賞賛されていました。

そんなのは過去の遺物。平均寿命が短い時代ならいざ知らず、定年退職後の人生が全く無趣味であることほど、つまらない物はありません。高齢化社会こそ個人の趣味を充実させる必要があると考えています。

意外に売れていなかった2021年

https://www.hankyu-dept.co.jp/honten/information/watch/01/00931036/?catCode=101002&subCode=102022

さて時計以外の話が長くなりましたが、タイトルの老舗百貨店の60回無金利ローンは阪急百貨店 うめだ本店の話です。そもそも阪急百貨店の時計売場で分割無金利ローンはこれまで僕が知る限り、24回が最長でした。

それが60回無金利!これはそれだけコロナ禍で時計が売れていなかった証です。時計好きの人は知っていますが、マスコミが報道するほど腕時計は売れていません。だって売るモノが無い状態が続いていましたから。

最悪だった前年同月比から上がるのは当たり前。スイスではパンデミックでは国境を超える移動が禁止になりフランス・ドイツからの職人や社員が入国不可で、生産ができくなっていました。

そんな状態から2021年4月にウォッチ&ワンダージュネーブで、各ブランドは新作発表をできるまでに生産量が回復しました。

ただこれも国内に本格的に入荷したのはその2ヶ月後位からだったと記憶しています。が、その新作発表直後、国内では緊急事態宣言になってしまいました。

新作発表で日本国内でもいよいよ本格稼働かと思いきや(2021年4月25日)の緊急事態宣言は愛好家メーカー共に痛手だったはず。同年6月20日に宣言解除になるものの、再び7月に宣言が再発令されます。

路面店のブティックはそれなりに営業していたもの、百貨店へ入居しているブティックは当然休業でした。結局コロナ禍の緊急事態宣言で最も打撃を受けたのは何だかんだ言って百貨店でした。

そして2021年の秋から冬を迎える直前になって、やっと国内のラグジュアリーショップは通常運転状態へ戻ることができるようになったのです。

値上げしたけれど、世界的にみればまだまだ安い国内時計正規価格

件の阪急百貨店も11月になり、隣接する阪急メンズ館でブランパンやIWCのポップアップストアを期間限定で開催しました。これも開催の意図は実機に触れて、購入意欲の喚起と新規ファンの掘り起しでしょう。

内外に目を向ければ諸外国は自国の観光客受け入れに前向きです。観光立国と言ってきた日本もそろそろ「外圧に負けて」海外からの観光客を受け入れる日も近いでしょう。

そうなると以前のように国内のブティックに再びチャイナ・ツーリストが押し寄せる日も迫っています。

それもで国内の正規価格は諸外国と比べかなり低く推移していました。そのため2021年になりヴァシュロン、ジャガールクルト(リシュモン)、AP、ロレックスなどが国内定価を値上げをします。過去記事参照

ただこれは世界的な値上げの一環であることは間違いありません。

しかし値上げしたとはいえ、また諸外国と比べ低い状態は変わりません。あくまで日本の値上げ率をいくぶん大きくして、他国との差を幾分縮めただけなのです。

上のInstagramシンガポールの正規価格サブ・ノンデイトは11,890SID(¥998,760 1SGD=¥84で計算)に対して日本は¥897,600で差額で¥101,160の差。両国値上げ後でもこれほどの差があるのです。

2021年年末にかけては近年稀に見る腕時計購入のチャンス!

https://www.pexels.com/ja-jp/photo/5926463/

何が言いたいかと言えば、この11月から1月初め頃にかけてが、腕時計購入の最大のチャンスであるという事です。まず百貨店はこれまでの損失を取り返すべく、阪急のような大々的なキャンペーンを展開してくるでしょう。

そして国内では海外ツーリストが減少しているため、在庫もそこそこある。この後2022年1月末から2月にかけての「春節」に合わせて海外からの渡航解禁になると、僕は予想しています。

もし今行われている(他府県はわかりませんが)キャンペーンに乗らないで2022年を迎えると、再び外国人たちにお買い得な日本の腕時計を買い漁られる可能性が非常に高いと僕は考えています。

スウォッチグループの値上げ前ゆえのチャンス?

そして僕が考えるもう一つの「チャンスの理由」が、スウォッチグループが未だに値上げをしていないからです。

2021年夏にブランパンブティックでスウォッチグループJの社員さんから「今年値上げしていないからお得ですよ」と言われた事を僕は忘れられません。

東京オリンピックの公式時計だったオメガはオリンピックの延期により実は値上げできなかった状況なのではなどと、僕は推測しています。

2021年11月時点では値上がりの情報は正式に出てないので、「そろそろなのでは」と気が気ではありません。ただ、2022年2月には北京冬季オリンピックが始まるので、彼らの値上げはもう少し先かも知れませんね。

まとめ

未曾有のコロナ禍が終息に向かい、百貨店と日本国内の売上は良くなくスウォッチグループも値上げ前である。この事が2021年年末にかけて腕時計購入を推奨する大きな理由です。

それ以前の経済危機2008年9月のリーマンショックでも円高により時計価格が下がり購入しやすかった時期がありました。

あの時僕はもっと時計を購入しておけばと、常々後悔していました。その経験があるからこそ、このチャンスを逃したくないと考えています。今回を逃せばまた20年間時計を購入できないかも知れません。

買える買えないは人それぞれ。しかしもし買える状況にある人は2021年の秋冬はチャンスだと思います。ぜひ時計売場へ足を運んでください。

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