こんにちはGoroです。2024年の腕時計ビジネスは新年の号令と共に正規販売価格の値上げから始まりました。腕時計ビギナーの皆様もどういう一年になるのか気になると思います。果たして腕時計は今買うべきか、否か?今日は2024年の腕時計ビジネスがどんな見通しなのか、彼らの戦略解析を様々な観点からまとめて詳しく紹介します。
未来の挑戦を探る:2024年の時計業界の戦略・展望
ここ数年の時計相場の上昇が落ち着き、専門家の予想では「通常に戻る」という見方が大勢を占めているのが特徴です。実際に2024年の1月から人気ブランドのロレックスが値上げに踏み切り、この後も有名ブランドが値上げを予告しています。何人かの専門家たちは値上げによって逆に自分たちの首を絞めている、それを裏付けるように筆者はここ半年ほどでこれまでプレミアム価格で販売していた時計が、一転正規価格を下回る価格店で売られているのを見る機会が増えているのが特徴です。
並行店で人気モデルが出回るようになってきたのは、在庫が増えてきて正規店以外にも製品が流れていると予想します。このモデルも少し前までは正規価格を上回る状態だったのですが、正規価格を下回る価格で販売されてきたのは良い傾向です。
2024年、時計ブランドが考える新たな事業分野は?
前述したように世界の腕時計正規価格はここ数年異常な価格高騰を見せました。値上げの要因は世界的なインフレによるものだったり、日本のように為替レートの変動によるものなど様々です。ただこれだけ価格が上昇すると、時計好きな愛好家といえどもそう簡単に購入する事はできません。そこで最近注目を集めているのは交換用ストラップです。腕時計はストラップやブレスレットを交換するだけで全く別の製品に見せる事ができます。
もう一つは修理メンテナンスです。修理メンテナンスはこれまで時計ブランドはあまり注視していなかった分野だと言われてきました。しかし、近年は顧客の囲い込み以外に自社製品の品質向上にも繋がるとして、腕時計ブランドも注目しています。
最後にもうひとつ挙げるとすれば、時計ブランド主導の中古腕時計の取り扱いです。世界的に循環型社会の構築が叫ばれる中、腕時計業界も例外ではありません。Rolexも認定中古(CPO)を始めたように、これは企業活動する上で不可欠なものになっています。
腕時計業界の競争の舞台裏:小売店の変革?
さて、腕時計購入者目線では気が付く事はありませんが、時計を販売するリテイラー(小売店)の変革にも目が離せません。海外の時計メディアでは2024年の時計市場は縮小傾向にあるため、小売店も減少する説が有力です。筆者の地元関西エリアを見渡しても、神戸のロレックスの正規店が1店舗、2022年に閉店しています。表向きはテナント百貨店の経営が変わる事のためという言い方もできますが、兵庫県内ではここ約10年ほどで4店舗が閉鎖されているそうです。
世界的に見ても、販売店は縮小傾向にあります。そしてそれは更に進むという見方が大勢です。新品が品不足のため世界中の有力リテイラーは、現在新たな市場としてロレックスの中古を認定中古として販売してマーケットの拡大に努めています。
ただ、日本国内においては集約はあっても、正規リテイラーの変革は見られません。おそらく既得権益である彼ら(ロレックス正規代理店)の変革は無いと思います。日本でCPO導入がなかなか進まない一番の障害は、「正規店は中古は取り扱わない」という日本時計独自の商習慣です。
しかし、このままCPOを導入しないと黒船が来る可能性も否定できません。
1998年にアディダスの日本代理店デサントが、ライセンス契約を打ち切られ大打撃を受けた事があります。それと同じ事が、時計業界に起きる可能性だってあるからです。
腕時計業界が目指す、新たなマーケティング戦略とは?
この半年ほどの時計相場の暴落によって、成長に陰りが出てきているのは事実です。その影響で専門家たちの間では24年の時計マーケットは縮小するという意見が多数派になります。またここ数年の相次ぐ正規料金の値上げも時計愛好家たちには痛手になっているはずです。そして時計価格全体の高騰は特に腕時計ビギナーや時計に興味を持ち始めた人たちにも少なからず購買意欲を下げる大きな要因になっています。
しかし単に値付けを下げるだけでは収益が悪化して、ブランドイメージを下げるだけになり、時計ブランドが単なる値下げ・ダンピングを採用する可能性は低いです。筆者の個人的な意見では、新たな廉価モデルを投入して市場を活性化して欲しいと思っています。記憶に新しい所で、Swatchがオメガやブランパンとのコラボウォッチ(Moon-Swatch&Blancpain-Swatch)を発売して成功した事は時計ブランドにとって参考になった筈です。このモデルによって高級時計に気付き興味を持った人が出てきた事は間違いありません。
新しい層へアピールするために、グループ内の低価格版ブランドと高価格帯ブランドをコラボさせて、高価格帯ブランドを気付かせる手法は、これまで時計ブランドでは見られなかった斬新な試みだと言えるでしょう。この手法はラグジュアリーブランドがグループ化した現代では導入(模倣)しやすく、他のブランドのマーケター達も、もしかしたら新たに検討しているかも知れません。
時計業界が悩む、値付け、対象をどこに置くかが勝負
とはいえここまで価格が上昇したこの2024年時点で、廉価版モデルを今後出すのは難しい判断が迫られます。まず廉価版の対象を愛好家へ向けるのか、全く時計に興味を持たない層へ向けるのかで変わってきます。ただ、愛好家向けの廉価モデルにすると彼らは目が肥えているので、納得する製品を出すのは至難の業です。愛好家が大事にするのは純然たる販売価格よりお得感で、「この機能、仕上げでこの値段は安い!」という判断を愛好家はします。
しかし、時計に興味の無い人に訴求するにはやはり販売価格が低い事が一番です。新しい顧客を新規開拓するのか、既存顧客への深堀りにするのか、迷う所ですが、何が正しいかはそれぞれのブランドによって違います。
ただ、いずれにしてもこの数年のような黙っていても売れる市場で無い事だけは間違いありませんね。