こんにちは、Goroです。先日ショパールのアルパインイーグルを心斎橋で見てきました。サンプル品の実機を手にしてびっくりしました。色鮮やかなダイアルは、これまで見た事が無い新鮮な物です。どんな腕時計かを、詳しく紹介していきます。

往年の名モデルを新モデルとして!

ショパール アルパインイーグル

ショパール大丸心斎橋ブティックで撮影、サンプル品

ショパールの「アルパイン・イーグル」は1980年から約10年間発売された「サンモリッツ」というモデルを再解釈したモデルとして、2019年に新作として発表されたラグジュアリースポーツモデルです。折しもアルパイン・イーグルが発表された2019年は世界的に腕時計のラグジュアリースポーツモデルの全盛期、時計愛好家たちのハートをまさに「鷲(わし)」掴みに大ヒットしました。だた、このモデルは決して流行りだけに乗った訳ではありません。


往年の人気モデルの開発者(現社長)の息子がアーカイブから見つけ出し、社長へ復活を直訴。家族間で4年近い歳月をかけて議論して、作り上げた魂のこもった力作です。名作をトリビュートしつつ斬新なモデルを作りたかったショパール創業家の意気込みが感じられます。


新ステンレスを鉄鋼会社と共同開発

ショパール アルパインイーグル

https://pixabay.com/photos/acetylene-aluminium-aluminum-blow-1239322/

最大の特徴はアルパイン・イーグルに使用されている鋼材、「ルーセント・スティールA223」というオーストラリアの鉄鋼会社と共同開発した、独自のステンレス鋼です。この鋼材は従来のステンレス鋼より不純物を少なくして硬度を高め輝きを増しています。ご存知無い方もいるかもしれませんが、ステンレスの主成分は鉄(Fe)です。その鉄にニッケルとクロムを添加して作られた合金になります。一般的にクロムを含有する事で鉄の表面に薄い酸化被膜を形成します。


このことで鉄が空気中の酸素と結合しないためにさびにくくなるのです。

またステンレスはJIS(日本工業規格)やISO(国際規格)といったような規格に基づき製造されます。これは添加するクロムやニッケルによって機械的性質(硬いや軟らかい、酸に強い弱い)が変化するため、一定の規格を設けて製造することで品質を担保します。

日本ステンレス協会HP参照

そのため成分割合も工場のラインで大量生産するのが通常です。それゆえルーセントスティールのようにこれまでに無い成分比率だとゼロから工場ラインを設定する必要があります。これはコスト面を考えると決して好ましいものではありません。


ファミリー企業だからできる英断!

https://www.chopard.com/ja-jp/watch-universe/alpine-eagle-universe/alpine-eagle-rebirth-of-an-icon.html

腕時計で最も多く採用されているステンレスは316Lステンレス鋼で、素材の良さはもちろんですが、これまで腕時計業界以外の業種で使用されてきた実績と安心感が多くのブランドで採用されてきた理由です。腕時計の場合肌に直接触れるものだけにルーセント・スティールA223の導入にあたっては他業種の実績が無い事で、採用までのプロセスにはかなりの困難を極めた事が想定されます。実際ショパールも3年近い年月をこの材料の導入に費やしたそうです。


製造ノウハウから人体への影響のデーターを最初から収集することはメーカーとしてはできれば避けたい事でしょう。また「入手ルートが限られているリスク」もブランドとしては無視できません。万が一入手先でトラブルがあった場合、その製品は即座に製造中止へ追い込まれます。一般的な会社だと、「リスクが高い」として無難な材料の採用に落ち着くのが常です。家族経営であるショパールだからこそ「代えがたい素材」としてルーセント・スティールA223の採用を英断できたと筆者は考えています。


美しいだけでは無い、心地よい装着感

2019年アルパインイーグルが発表された年、WEBで初めてこのモデルを見た時はただ漠然と「デザインが優れている」といった印象だけが残りました。その後品薄状態が続き、2022年5月にやっと実機を見ることができたのです。まず目が奪われるのは印象的なブルー・ダイアル(文字盤)です。筆者も同じく、写真から伺う事のできる青はあたかも「氷河の奥底にうっすらと見える独創的な深い青色」になります。


そして鷲(ワシ)の虹彩(瞳の模様)をイメージした、文字盤の放射状の筋はゆったりとした渦を描いています。この筋目は電解メッキした文字盤に手作業で筋彫りした模様です。そのため文字盤が個体毎に僅かに異なります。これまでに見たことの無い輝く白銀色のケース本体が印象的でした。また装着すると通常のステンレス鋼よりも明らかに軽く、手首に馴染むフィット感は忘れられません。

そのフィット感の源はケースの薄さが要因と推測します。10㎜を切る脅威の9.7㎜はGoroが所有する機械式時計のどの製品より薄いものです。重量を調べたところ150gなので、そんなに軽いわけではありません。これも個人的な意見ですが、薄さによりフィット感が増し、それによって重さが時計全体に分散されたために軽く感じたのではと思います。

長い目で経営を考えられる


ショパールの「こだわりのモノづくり」は直近10年だけで考えると、経済的には非効率に映ります。しかし、創業者一族だからこそできる、こだわりのモノづくりは決して非効率では片付けられません。アルパイン・イーグルは間違いなくショパールの未来を担うアイコンモデルとしてこれからも後世へ伝えられていくと思います。100年単位のモノづくりは長い目で見れば後世から評価されるマスターピースとなるはずです。

スポーティーな要素も満載のアルパイン・イーグル、この時計を相棒にしてください。


こちらの記事も読んでください

上部へスクロール