こんにちはGoroです。この数ヶ月ほど、筆者はF1(Fomula1)にハマっています。なぜこんなに惹かれるのか、考えたところ、腕時計ブランドとの共通点が見えてきました。また、筆者の好きなヨーロッパサッカーとも同じ文化である事もわかってきました。今日はF1と高級腕時計ブランドの相関関係をまとめてみましょう。

 

精密技術の極致:F1カーと高級腕時計の共通点

Fomula1 engine

最新のF1エンジンはガレージというより、ラボ(研究所)で製造開発されている雰囲気

 

 

F1(Fomula1)に高級腕時計のスポンサーが多い理由を筆者は、両者には多くの共通点があると考えています。時計のムーブメントは原理的にはエネルギーを生み出すもので、車のエンジンと原理は同じです。F1のエンジンも、原理は1884年にカール・ベンツが開発した初期のガソリンエンジンと変わりはありません。エネルギー効率が改善されてあのような爆発的なスピードを生んでいるのです。

 

時計のエンジンにあたるムーブメントはゼンマイが解く力(エネルギー)によって秒針を動かしています。これも1270年から1300年の間にイタリアで作られた塔時計の頃と原理は変わっていません。そして案外知られていませんが、機械式時計のムーブメントのエネルギー効率は意外に悪い事も忘れてはいけません。そのため時計ブランドの課題として、ムーブメントのエネルギー効率をアップさせることを各ブランドは真剣に考えています。

 

先日筆者は、カルロスゴーンのドキュメンタリー番組の中で、フランスのビジネスマンが、インタビューの中で、「車体(時計ケース)の中に100個以上の部品が詰まっていて、自動車産業は時計と同じ様に複雑だ」という趣旨の発言を聞きました。

もしかしたらヨーロッパ人の多くの人たちは、自動車業界と時計業界には共通点があると感じているかも知れません。

 

革新と進化:常に進化する世界

 

F1チームと腕時計ブランドはそれぞれ長い歴史があるため、保守的なイメージを抱いている人も多い事でしょう。しかし、両者ともに伝統だけに固執している業界ではありません。むしろ両者共に技術革新においては、貪欲です。F1では単にスピードだけ追い求めている印象もありますが、スピードと効率性をF1チームは探求しています。燃費は近年F1においては、格段に進歩している技術です。現行のF1ではレース中の給油は無く、100リットルのガソリンでレースを完走します。

 

とはいえ市販車の燃費と比較した場合決して良いとは言えません。そのためF1を管轄するFIAは数年毎にF1のレギュレーションを見直し、時代に即したレギュレーションへ改正しています。一方の腕時計ブランドも負けてはいません。21世紀に入ると彼らに明らかな変化が出てきた事が特徴です。伝統を守りつつ新しいものへ挑戦する姿勢が出てきました。代表的な物としてはオメガに搭載されているコーアクシャル・エスケープメントです。

 

イギリスの時計職人ジョージ・ダニエル博士によって、1970年代から開発されていた時計部品の摩耗を軽減する画期的な脱進器は、いくつかの有名時計ブランドへ持ち込まれるも皆首を縦に振らない状態が続きました。

しかし、スウォッチグループのハイエックだけが、この機構の素晴らしさに気付き、現代ではオメガのほぼ全製品にこのコーアクシャル・エスケープメントが搭載されています。

参考:筆者の過去記事

パフォーマンスと機能性:究極の性能を追及して

そして、この革新と進化を目指すのは、F1といえども僕らの日常生活に最終的には幸福をもたらします。決して企業イメージアップのために行っている施策ではありません。2030年までカーボン0(ゼロ)を目指すF1は、世界で一番エネルギー効率の良いエンジン実現のステップとして、まず2026年に100%再生燃料の使用が予定されています。現状のF1を見ていても、100リットルのガソリンだけでレースを無給油で走りきります。

一方の腕時計ブランドも、近年サスティナビリティに力を入れている最中です。各ブランドは再生材料の使用に力を入れております。海洋から回収した再生プラスチックをストラップや、ダイアルに採用している事が近年の腕時計ブランドの特徴です。

 

海洋生物が命を落とす廃漁網で命を落とさないように、その魚網を回収して製品の材料へと還元しています。

今回紹介した、IWCも同社HPにサスティナビリティのページを設けていて、IWCは特に再生ストラップの使用に力を入れていると記述されています。時計の材料にステンレス鋼を多く採用しているのもサステナビリティの表れです。

 

ブランドの伝統と価値:歴史が生む信頼

現在のF1を代表する2人のドライバー、マックス・フェスタフェンとルイス・ハミルトン

チームにブランド力が無いとF1の世界では勝負できません

 

F1の各チームの代表が口々にするフレーズとして、「成果はすぐに出ない」という意見をよく聞きます。この意見は時計ブランド関係者の間でもよく聞くフレーズです。ローマは一日にして成らずという格言もあるくらいですから。素人考えでは、優れたエンジンを投入すれば勝てると考えがちですが、そんな簡単なものではありません。

 

車というものは、僕らが考えている以上に複雑で単に速いエンジン=速い車という数式はあてはまりません。エンジンが発生させたパワーをシャフトからタイヤ、そして路面に確実にパワーを伝えないと速く走る事は不可能です。更に車を速く走らせるための優秀なドライバーも必要になります。メカニックを含めた大勢のスタッフが居て、チームとして機能するのです。当然優秀な人たちを指揮するチーム代表も存在も重要になってきます。

 

そこで、優秀な人たちがある日突然降ってわいたような成り上がりのF1チームに来てくれるかどうかです。大半の人たちは実績のある名門チームを選ぶと思います。これがいわゆるブランド力でしょう。腕時計ブランドでも同じことが言えると思います。創業50年のブランドより200年以上のブランドを消費者が欲しがるのは、その積み重ねてきたブランド力です。

 

今でも多くのドライバーたちがフェラーリのシートを欲しがるのは、フェラーリが持つブランド力に他なりません。

 

デザイン美学:美しさと機能の融合

  チーム名 スポンサー時計ブランド
1 Visa Cash App RB Formula One Team(RB) TUDOR
2 Oracle Red Bull Racing(レッドブル) TAG-HEUER
3 Scuderia Ferrari(フェラーリ) RICHARD MILLE
4 McLaren Formula 1 Team(マクラーレン) RICHARD MILLE
5 Aston Martin Aramco F1 Team(アストンマーチン) GIRARD-PERREGAUX
6 MERCEDES(メルセデス) IWC
     

2024年 F1各チームの契約腕時計ブランド一覧

IWCの公式HPよりhttps://www.iwc.com/jp/ja/watch-collections/pilot-watches/iw388108-pilot_s-watch-chronograph-41-edition-mercedes-amg-petro.html

このように10チーム中6チームがパートナー契約中です。ここで僕が気づいた事は、契約を結んでいる時計ブランドの2023年の売上ランキングで上位ブランドは、RISHARD MILLEだけになります。この6ブランドの共通点として、考えられるのが美しさと機能の融合を掲げている印象が強いことです。TUDORやTAGHUIER、IWCはダイバーズウォッチやパイロットウォッチに優れた製品を多く世に送り出しています。

 

それらの製品は個性的な美しさで、一目見れば同社の製品だとわかるのが特徴です。RICHARDーMILLEとGIRARD‐PERREGAUXも同じく個性的な外観になります。もう一つ挙げるとすれば、色に対する拘りも6社共通です。

もちろん色の違いで時計や車の機能が変わるわけではありませんが、色使いが豊かな方が消費者としては嬉しく感じます。

これ以外で、ROLEXがFomula1 Partner(フォーミュラーワン パートナー)として、2024年も全てのグランプリのサーキット内で、ブランドロゴを掲げ、公式時計を提供して時間計測をサポートしています。

 

しかし、2025年はLVMHグループがそのスポンサーシップを狙っているそうです。

 

F1はスポーツ、ステータスと象徴:成功者のシンボル

F1のシンガポールグランプリは2024年9月20日から予定されています。会場は写真のマリーナベイストリート・サーキットの公道コースを使用中

 

F1はスポーツというと首を傾げる人がいるかもしれません。カーレースは日本ではスポーツという言葉を使うメディアは専門メディア位でしょう。しかし筆者はF1はスポーツだと認識しています。

なぜスポーツなのかといえば、F1にはルールがありそのルールの中で競い合いポイントを積み重ね、年間王者を決めているからです。ドライバー、オーナー、スタッフはみんな、ライバルと競い合いそれぞれのゴール(目標)を目指しているのです。

 

とはいえなぜ、あんなに関係者たちはレースの結果で一喜一憂するのか疑問に思う人も多くいると思います。

頭の良い人ならもうお気づきかも知れません。F1も腕時計の世界も単なる自己満足の世界趣味なのです。結果に伴い莫大な収入を得られるビジネスの側面もあります。リスクは大きくオールオアナッシング(All Or Nothing)の世界だと言っても過言ではありません。レースは年々華やかに巨大なエンターテイメントの空間になります。ラスベガスやシンガポール、アブダビ、カタールはナイトレースで開催され、暗闇の中の明るいカクテル光線の中で開催されるレースは、幻想的です。

 

観客は、シャンパングラスを傾けて、今後のスポンサーシップの話を関係者とレース中に行い、華やかさと結果でシビアにジャッジされるF1の世界はハイリスク・ハイリターン、利益率は決して良くないイメージもあります。レーサーたちは20シートしかない中、翌年のシートが得られるかどうか常にヤキモキしているのが実態です。場合によってはアクシデントで生命の危機もあるレースの世界、それでも皆必死になるのはスポーツが持つ魅力だと筆者は考えています。

 

是非、F1と高級腕時計を一緒に楽しんでください。

 

 

 

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