こんにちはGoroです。機械式時計は年数が経てば、ムーブメントを分解して組み立てなおすオーバーホールが必要になります。しかし、どの位の間隔(頻度)でオーバーホール作業を依頼するかは腕時計ビギナーにとっては難題です。3年?5年?10年でも問題無いという人もいます。最適なオーバーホール頻度は何年なのか?解説します。

オーバーホール頻度に正解は無い!ムーブメントと状態により異なる!

オーバーホール頻度 メンテナンス
オーバーホール頻度に正解は無い、ブランドに掲げる推奨期間を目安に適切なタイミングでオーバーホールを。

まず機械式時計のオーバーホール頻度に正解はありません。これは腕時計のモデル、ブランド、ムーブメントとその状態によって、全く異なるからです。最近は目安のためブランドがオーバーホール推奨期間というものを定めていますので、その推奨期間を目安にするのが良いでしょう。

メーカー オーバーホール推奨頻度 メーカーHPの記述先リンク
ロレックス 10年以内を目安に! ロレックスのお手入れ
オメガ 5〜8年以内に! 推奨されるメンテナンスの頻度
IWC 明確な記述なし。現行品は購入後最大8年保証 FAQ IWC
オリス 10年間オーバーホール不要(注:モデルによる) オリスムーブメント

上の表は個人的な考えで抽出した、実用時計を多く製造していると考えられるブランドのオーバーホール頻度を記述しました。これを見る限りハッキリとしたオーバーホール頻度を明示しているブランドは全製品ではありませんが、オリスです。オリスは限られたモデルですが、ハッキリと「10年間メンテナンス不要」と記述しているので、相当品質に自信を持っていると感じます。

 

あとのブランドはあくまでも目安的な記述がほとんどで、腕時計ビギナーにしてみれば「オーバーホール頻度がわからない!」という声が聞こえるのもわかる気がします。各ブランドがハッキリとした頻度を断言できない理由は、ユーザーによって使い方が全く異なる事が大きいからです。ガシガシとハードに使う人も居れば、腫れ物に触るようにビクビク使う人など、使い方は様々になります。

 

また近年はムーブメントの部品の耐久性の向上によって現行品ほど、オーバーホールの頻度はかつてより少なくなっている傾向も見逃せません。機械式時計は何百年も前からの技法で製造していますが、実はテクノロジーの進化によって新型ムーブメントほど機械的性能は年々アップしており、20年程前のムーブメントと現代(2023年)とではその性能に雲泥の差があります。

 

とはいえ、新型ムーブメントが発表されたからと言ってショーケース全ての製品が新型へ置き換わる訳ではありません。殆どのブランドの製品ラインナップは旧型新型混在する事になり、営業戦略上オーバーホールの目安を明示できない要因も否定できません。

 

個人的な意見(感想)ですが、新型ムーブメントを搭載している現行品であればオーバーホール頻度は5年を目処にしてOKだと思います。近年リシュモンGは2019年に現行品の製品の保証期間を8年に延長を発表している事も忘れてはいけません。

 

オーバーホール頻度は現行品ほど少なくなる傾向

オーバーホール頻度 メンテナンス

リシュモンの保証期間延長の理由は、ムーブメント部品に使用されるシリコンパーツの特許が切れた事に由来します。耐久性の高いシリコン部品が各社自由に使用できる事で、ムーブメントの耐久性がアップし、結果自社のサービスセンターへ送られてくる修理の頻度も減る事が予想されるからです。同様に他のブランドでも修理(故障)頻度が少なくなる事で、これからも保証期間の延長を発表するブランドの増加が予想されます。

 

ヴィンテージやアンティークウォッチのオーバーホール頻度は現行品より多めに!

オーバーホール頻度 メンテナンス
筆者がOHに出したセイコーロードマーベル。古い時計で36,000振動の時計ゆえ、定期的なオーバーホールは不可欠。

各ブランドの保証延長はあっても注意すべき点は中古時計のオーバーホール頻度です。最近は現行品の値上がりの影響でヴィンテージアンティークウォッチを勧める販売店が増えています。時計に対する知識があればそれら製品の購入は問題ありませんが、腕時計ビギナーは購入時にメンテナンスの有無を確認する必要があります。

 

個人的な意見ですが、ヴィンテージアンティークウォッチは最後にオーバーホールを受けてから2〜3年でもう一度(可能であればできるだけ早く)オーバーホールを実施する方が安心です。また、筆者の経験上2010年以前に製造・販売された製品はヴィンテージと考えるべきです。詳しく知りたい人は時計メディア等が発行しているムーブメント一覧表などを購入して該当するムーブメントが何年頃発表されたものか確認すると良いでしょう。

 

オーバーホール頻度は日々の時計の調子で判断、精度測定が一番簡単

オーバーホール頻度 メンテナンス
精度、音、針の動きが悪くなると多いのが潤滑油切れ、定期的なオーバーホールで解決できる。

前述したように目安となるオーバーホール頻度を記述しましたが、一番重要なのは日々の時計のコンディションをユーザー自身が感じ取る事です。コンディションを感じると言ってもそんなに難しく考える必要はありません。

 

機械式時計のコンディションの判断基準は「精度」、「音」、「針の動き」を判断材料にするだけで十分です。特に「精度」は一「1日に何秒ズレるか?」これだけを把握すれば誰でも簡単に理解できます。所有している時計の状態の見極めに迷った時は、まず精度測定を試みましょう。

 

機械式時計は前触れなく壊れる!オーバーホール推奨期間前に作業依頼!

オーバーホール頻度 メンテナンス
オーバーホール頻度はカレンダーなどに記入して、管理する。筆者はスマホで数年先にリマインダーを設定。

一般的に機械式時計はどんなに優れた時計でも1日に10秒以内の日差があります。しかし大半の機械式時計の日差は±30秒程です。いずれにしてもクオーツ時計ほどの精度は無い為、出荷時にメーカーは「進むように調整している」という話を聞いた事があります。どの程度の狂いが出たら故障なのか?機械式時計が壊れた時はもの凄く進むか、もの凄く遅れるか(または完全に止まる)のどちらかです。筆者は数年前に時計が壊れた時は、1時間の間に10分以上進む現象が見られました。

 

腕時計ビギナーの皆さんの中には、機械式時計が壊れる時は徐々に壊れる印象があるかも知れません。しかし実態は急に壊れます。とはいえ壊れなくてもメーカーの推奨するオーバーホール頻度を忘れないでください。オーバーホールと壊れた時の修理では、オーバーホールの方が費用面で明らかに安上がりです。つまり、Goroは推奨期間を目途にオーバーホールに出して故障防止を図るべきだと考えます。


作業依頼は正規メンテナンスより安いクラフトワーカーズへ見積り依頼してください。

上部へスクロール