こんにちはGoroです。腕時計ブランドと人気スポーツ、サッカーとのパートナーシップはなぜか多くはありません。世界的なマーケティングを推進する「ラグジュアリーグループ傘下」にある時計業界が、なぜグローバルな市場を持つサッカーとの協賛が進んで来なかったのか、筆者の個人的な意見も交えながら紹介していきます。

サッカーと腕時計ブランドのパートナーシップは少ない

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世界でも競技人口が比較的多いとされるサッカー、国内ではJFAが発表している登録選手数が2022年で約80万人、サッカーファミリー(指導者、審判など)はおおよそ500万、世界に目を向けると競技人口で約2億人を誇ります。当然この数字にはいわゆるサポーターは含まれていないので、間違いなく世界では数億人か数十億の人間がサッカーを愛しているはずです。しかし、腕時計ブランドがサッカーとパートナーシップを結ぶのはごく限られた腕時計ブランドしかありません。

 

筆者の知る範囲では腕時計ブランドに対して積極的なブランドはウブロタグ・ホイヤーです。ウブロはオフィシャルタイムキーパーとして、FIFA(世界サッカー協会)、UEFA(欧州サッカー協会)、イングランドプレミアリーグパートナーシップを締結しています。またタグ・ホイヤーも以前はJリーグの23歳以下のプレイヤーを対象としたヤングプレイヤーガンアワード(現在は契約終了)へ協賛していた実績がありました。

 

サッカーと腕時計ブランドのターゲット層のギャップ

ヨーロッパのサッカー(フットボール)クラブは、労働者のスポーツから発祥した歴史を持っている事が特徴です。例をあげるとアーセナルは元々ロンドン北部にあった砲兵工場の労働者達のクラブとして誕生しました。今もノース・ロンドンには一般大衆のサポーターを多く持つアーセナルとトットナムのダービーマッチは「伝統の一戦」として大いに盛り上がります。

 

一方腕時計ブランドは歴史ある名門ブランドほど、これまで貴族や富裕層をターゲットにしていた事が特徴です。しかし、時代の移り変わりと共に腕時計は一般大衆が使うツールと変化してきた事も見逃せません。2020年代に入ってから腕時計ブランドが多くリリースしてきた「スポーツウォッチ」や「ラグジュアリー・スポーツウォッチ」は高級腕時計の使用するシーンを拡大し、これまで慎重に扱う必要があった腕時計がハードに使用できるようになりました。

 

これによりフォーマルなシーンだけに重宝されていた機械式腕時計は、フィールドにも活動の場を広げています。今や価格帯に縛られる事なくほぼ全てのブランドがスポーツウォッチを製造し、新たな顧客層を開拓しています。とはいえ、やはり全てのスイスブランドがサッカーをプッシュするかといえばそうは行きません。馬術やゴルフ、モータースポーツというようにどこか高級な雰囲気を醸す競技が時計ブランドのメインターゲットです。

 

近年のスポーツウォッチ(含むラグジュアリー・スポーツウォッチ)ブームは、サッカーと腕時計ブランドがパートナーシップを結ぶのに明らかに「追い風」ではあります。しかし全ての腕時計ブランドがサッカーとパートナーシップを結ぶのに相応しいかと言われれば、そうではありません。

 

サッカーとのパートナーシップに相応しいブランドは?

サッカーという競技へ一番注力しているブランドは前述したHUBLOTです。彼らのスポンサードしているスポーツは、ゴルフやテニスもある中、サッカーにとりわけフォーカスしている印象があります。これは筆者の個人的意見ですが、HUBLOT(ウブロ)は比較的歴史が浅いブランドゆえ、テニスやゴルフではまだまだ名門ブランドにはかなわないと考えてサッカーに注目したかも知れません。

 

筆者が初めてウブロの名前をサッカーで見たのはマンチェスターUへの胸スポンサーになった2008年でした。1992年にプレミアリーグと改称して以降、中産階級のサポーターが増えた事もウブロがサッカーに参画した要因かもしれません。2008年当時筆者はウブロは販売価格が高い印象があったため、彼らの持つブランドイメージとサッカーとは「マッチしないのでは?」という、「素人考え」もありました。しかし今日現在彼らがサッカーと深く関わっている事で、「素人考え」は見事に否定されました。

 

競技よりアスリートのライフスタイルが腕時計には重要

ウブロのサッカー市場への参画によって他の時計ブランドの参入もあるかもと筆者は思っていましたが、意外にも腕時計ブランドのサッカーへの参画は見られませんでした。というのも近年の腕時計はファッションの要素も無視できません。アスリートがプレーする競技よりも、彼らのライフスタイルに注目が集まります。そのため最近はアスリート個人にフォーカスしたパートナーシップが主流です。結果SNSのフォロワーの多いアスリートのライフスタイルが重要になってきます。

 

例を挙げるとチューダーはDベッカムとアンバサダー契約を結んでいますが、これは明らかにベッカムにフォーカスしている事が特徴です。公式HPを見ても彼が元サッカー選手である事を示す画像はなく、現在の彼のライフスタイルにチューダーは着目しています。SNS全盛のこの時代、腕時計ブランドも彼らが必要とするライフスタイルによって、アンバサダーとパートナーシップを結ぶ傾向が強くなるはずです。

 

もともとサッカーは競技しながら腕時計をつける事は難しいものでした。そのような競技の性質上、将来的にもサッカーという競技へパートナーシップを結ぶ腕時計ブランドは増加しないと筆者は考えます。

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