腕時計初心者が最も欲しがるブランドといえば、ロレックスでしょう。しかし、ロレックス を欲しがる人はビギナーだけではありません。腕時計上級者、筋金入りのコレクターもロレックスを愛して止まない人は多くいるもの。今回はロレックスの魅力をわかりやすく紹介します。ぜひ購入時の指針にしてください。
①潜水艦のハッチと同じ、堅牢なリューズ
その防水性の高さはオイスターケースとネジ込み式のリューズにあると言われます。今では他のブランドも採用するネジ込み式のリューズはロレックスの特許でした。簡単に説明すると潜水艦のハッチのような構造になっています。時間調整するためにムーブメントと外部をつなぐリューズは水が侵入しやすい事が技術者にとって悩みのタネでした。
しかしロレックスがこの問題を写真のようなアイディアで特許を1926年に所得、防水性を確保しています。
このようにして高い防水機能の腕時計を発売した事でロレックスの認知度は一気に高まります。それは防水性だけに限った訳ではありません。優れたデザインを持った時計である事も、世界的なブランドにまで上り詰めた大きな要因です。
②アイコニックなデザイン
高い防水性を持ち、アイコニックな「美しいデザイン」の理由は時計を極限まで「ミニマライズ」したからでしょう。特殊時計によく見られた分厚い大型ケースでも無く、程良く手首にフィットします。夜光塗料をタップリと塗り、12時、3時、6時、9時の位置のアワーマーカーはバー、それ以外はドットという文字盤のデザインはパッと見ただけで時間の確認が容易になります。このように文字盤の視認性を良くする事に特化したことで、結果として美しいダイアルデザインに仕上がったと僕は考えます。
発売から約70年経ちますが、スーツにダイバーズウォッチ を合わせてもサブマリーナ は全く違和感無く似合う時計です。
③ロレックスへの手紙「耐久性の実例」
では具体的にロレックスの耐久性はどれほどの物なのでしょう?ロレックス の公式HP「ロレックスへの手紙」を読むと同社に来た顧客からの「お礼状と具体例」が掲載されています。例を挙げるとヨーロッパアルプスの雪氷の中に2ヶ月閉ざされていても動き出すGMTマスターやオーブンで焼かれても風防を交換しただけで、動き出したといった逸話が紹介されています。
ここには掲載されていませんが、僕は1982年に東京で起きた、「ホテルニュージャパン火災」が同社の腕時計の耐久性能を端的に表した事件だと思っています。33名の死者、負傷者34名もにも上った悲惨な火災で、当時犠牲者が付けていたロレックスが遺族のもとに返り、止まっていた時計のねじを巻いたところ腕時計が動き出したという新聞記事を読み、びっくりした記憶があります。当時は記事に「ローレックス」と書かれていた記憶がはっきりと僕の脳裏に蘇ります。
中学生だった僕はあのひどい火災でも時計内部が影響を受けなかった事に大きな衝撃を受けました。
④常に誤操作防止を考慮した時計造り
頑丈な腕時計ロレックスは、「自動巻き」をポピュラーにしたブランドでもあります。手巻きの腕時計はリューズを引っ張り、ゼンマイを巻き上げていました。しかしロレックスのねじ込み式リューズの防水機能を遺憾無く発揮させるにはリューズ操作を極力減らす事が最善の方法です。
泳いでいる時に自動的にゼンマイが巻き上がれば、リューズ操作は不要になります。1931年にロレックスが発表した360度両方向巻きの自動巻ムーブメントが、きっかけで腕時計の自動巻が普及して行くのです。
⑤ロレックス=セーフティーな腕時計
さてロレックスを一言でまとめるとどんな時計か?個人的な感想を言えば、見出しのセーフティーさです。「safety」を辞書で引くと、安全、無事、無難と言う意味が出てきます。これらは全てロレックスに当てはまる意味ですね。
写真のref14000は僕が初めて購入したロレックス、エアキング。1999年時点で定価は310,000円、ロレックス のコレクションの中では下から数えた方が早いモデルです。
しかしこんなリーズナブルな価格帯の時計でもロレックスのセフティーさは変わりません。モデル最高峰の「デイトナ」もエアキングも耐久性は全く同じなのです。
高級腕時計は、「腫物へ触るよう」に大切に取り扱う!と言う常識がロレックスにはあてはまりません。このことが世界中で多くの人に愛されてきた、大きな理由だと思います。乱暴な言い方かも知れませんが、プロダクツを荒っぽく扱うアメリカ人(全てのアメリカ人では無い)から特に歓迎されるのは、多少ぶつけた位で簡単に壊れないからと僕は確信しています。
かつて私物のロレックスのバックル(ブレスレットの留め具)が外れ、硬いコンクリートに落下させたことがありました。しかしロレックスは何事も無かったかのように動き続け、5年後オーバーホールに出しても故障や破損は無く、当然部品交換もありませんでした。
他の時計だったら、絶対壊れていた!僕はそう確信しています。そのことを裏付けるように、「SEIKO5」をコンクリート床へ落下させたことがありました。見た目こそ大丈夫でしたが精度は狂い、オーバーホールへ。2020年にやっと「完全復活」しました。
⑥有名すぎることが弱点?
完全無欠に思えるロレックス唯一の弱点は「有名過ぎる」事です。手首に付けているだけで存在感があり、誰もがそれをロレックスだと認識できます。有名過ぎる腕時計を付けているだけで、妬まれるなんて事も日本では十分に考えられます。ロレックスはできる限り周囲の状況を考慮して、付けて行く腕時計です。
筆者も30代の頃、前述のエアキングを上司から咎められた事があります。典型的な日本企業に勤務している人で、役職者でも無い30代以下の人には職場では不向きな時計だと僕は思います。
まとめ:腕時計初心者はロレックスを持つべきか?
さて、腕時計初心者はロレックスを持つべきなのでしょうか?僕の経験から言えば、「持つべきでは無い」と考えます。理由は世の中に多くの腕時計ブランドがあり、それらブランドを知ってから購入する方がロレックスをより深く味わえたのでは?と今になって想うのです。初めての高級腕時計がロレックスである必要は無く、さまざまな腕時計を経験してから購入するとロレックス の良さは更に高まる気が僕はします。
ただ、このような記事を読んでも「ロレックスを持ちたい!」そう思う貴方はこの限りではありません。そのような意思の強さがある人こそ、ロレックスを持つべきでしょう。僕がこれまで見てきた時計好きは、ロレックス・ジャンキーかそれ以外に分かれます。僕は初めての時計がロレックス でしたが、今はそんなに欲しいとは思いません。
それは他にも良い時計ブランドが、たくさんあると知ったからジャンキーにならなかったのでしょう。腕時計初心者の人はこれから購入する腕時計をロレックスにするか、どうかこの記事に書いている点を理解してから購入してください。決して何となく購入する事だけは避けて欲しいですね。