こんにちはGoroです。先日あるニュースがスイスから飛び込んできました。スイスの名門リテイラーであるブヘラがロレックスに買収された件です。新作発表のニュースと比べると扱いは低いと筆者は感じました。しかしGoroはこのニュースは腕時計ビギナーの方も知っておいて損は無いニュースだと思います。その理由を詳しく紹介します。

ロレックスがブヘラを買収するメリット

 

 

1888年にスイスのルツェルンで、創業したブヘラはロレックスの黎明期より販売を担ってきた名門リテイラー(小売店)です。2022年の年末にロレックスが同社初の認定中古プログラムを実施すると発表した時、まず彼らをパートナーに選定するとしていました。そんな声明から間もないタイミングで(2023年8月)の「買収報道」は、驚きと何より8ヶ月前の認定プログラムのブヘラを認定した理由も理解できました。ただ、日本では多くの人はブヘラと言ってもピンと来ないかも知れません。

 

筆者が若かりし頃、スイスへ旅行した際にロレックスを扱っている店舗として、何も考えずに飛び込んだのが実は名門リテイラーのブヘラでした。ブヘラではロレックスを購入すると、ブヘラにしかないロレックス・ノベルティがつく事でも有名でした。1930年代よりヨーロッパでは著名なリテイラーのブヘラがなぜ、当時ロレックスと手を組んだかは不明です。一説にはブヘラ創業者カール フリードリッヒ・ブヘラは、ロレックス創業者ハンス・ウィルスドルフと同じドイツ系スイス人であった事から、ブヘラで取り扱ったという逸話もあります。ロレックスと彼らの関係はほぼ1世紀近くになる事から、単なる同郷の友人という枠組みを超えた親密さも伺えます。

 

今回の買収報道が出た時、真っ先に思いついた事がロレックスの店舗の直営化です。

 

これまでロレックスの直営店はジュネーヴにある一店舗のみで、直営化には消極的と言われていました。今回の買収によって、ロレックスの店舗の直営化が進むという専門家の意見を多く聞きます。一般的に言われる直営化のメリットはまず流通費の削減です。そして顧客の「旬の情報を即座にそのまま入手できる」ことにあります。

 

買収時点でブヘラが持つ店舗数はヨーロッパ6カ国(スイス、ドイツ、フランス、デンマーク、オーストリア、UK)を中心に100店舗以上あるとされています。もし仮にこれらの店舗ネットワークを直営店化できた場合、競合他社にとっては現在のロレックスのブランドの優位性に加え、営業力でも差が広がることが予想されかなりの驚異となる筈です。

 

ロレックスがブヘラを買収する事で起きる反発!

 

さて筆者のような業界素人目線でも、ロレックスの独り勝ちが進むと思いつくのは明らか、その道のプロ達は私以上に「ブヘラ買収」を驚異と感じているでしょう。イギリスの時計メディアWatch-Proはリテイラー(小売店)達の懸念を記事にしています。

 

当然世界第4位のスイス時計輸入大国、日本でも同様の事が起きる事は明白です。というのも半年前の認定中古プログラム実施が発表されて以降、日本ロレックスは日本国内での運用開始日程などの詳細を一切発表していません。

 

報道を見る限り、ロレックスの認定中古プログラムは「ブヘラ」のヨーロッパにある店舗から実施されるとされています。日本国内ではブヘラと関連するものとして「カールFブヘラ」ブランドの腕時計だけが販売されており、代理店は株式会社ホッタです。ホッタは日本でのロレックスの(超?)有力代理店の一つでもあり、銀座と心斎橋、名古屋にあるロレックス正規代理店レキシアを運営しています。ブヘラと関連するブランドの代理店が、日本における有力なロレックス日本代理店である事から考えると、ブヘラの日本進出は難しくなる事が予想されます。

 

ロレックスがブヘラを買収、直営化は現実味を帯びる!

 

ロレックスのブヘラ買収は彼らの販売網の直営化の布石と考えて間違いないでしょう。しかしこれまで彼ら(ロレックス)を応援してくれた販売代理店の功績を無視するわけにはいきません。現在ロレックスは「ブヘラの名前(店舗名)、運営の独立性を保ち、マネージメントも変わらない」と明言しています。しかし、ロレックスの意向を反映しやすくなるのも事実です。

 

これまでオメガを筆頭とするスウォッチグループが1998年創設され、同時期よりリシュモンも時計ブランドを次々に傘下に収めています。両者はいずれも流通を改善して、販売も直営化する事で、ビジネスのグローバル化を推し進めて行った事が特徴です。こうして世界中のラグジュアリーブランドがこぞって直営にシフトする中で、ロレックスだけは例外という訳にいきません。ロレックスにとってもメリットが多い「直営化への第一歩」がこのブヘラ買収と考えるのが自然でしょう。

 

ロレックスがブヘラ買収、プロの見方は?

今回のブヘラ買収における記事を執筆中にクロノス日本でプロ目線の記事が出てしまいました。詳しくはこちらを読んでください。いくつかある意見の中で、筆者が共感したのが、ブヘラ買収により店舗数を絞る点です。店舗を絞る理由は現在の需要を満たせない点にあるとしています。とはいえロレックスの設備の充実はこの十数年で格段に進んでいる事も見逃せません。

 

そして、現在も施設拡充のプランを実行中です。Watch-Proの記事より。ただ、店舗の増設を先に行うのも良い選択です。というのもブヘラが現在所有している店舗は世界のラグジュアリーブランドが連なる「都心の一等地」に立地しています。日本で言えば銀座や心斎橋といった所です。

ラグジュアリーブランドが集結する都心の一等地確保はいざ出店を決断しても、最適な場所がベストなタイミングで空いているとは限りません。

 

販売チャネルが「良いタイミングでウリに出されているので購入した。」というところでしょうか?これで労せずロレックスは最高の一等地を確保したとも言えます。

 

リテイラーを今から確保しておけば、増産をしても問題無い」、ロレックス幹部のつぶやきが聞こえてきそうです。

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