こんにちはGoroです。モダン・ダイバーズウォッチの始祖(元祖)であるブランパンは、現在70周年記念モデルをリリースしています。以前より認知度は上昇していますが、まだ不十分です。他ブランドの人気ダイバーズウォッチに埋もれがちなブランパンですが、見逃されている魅力を個人的な観点から紹介します。

人々の記憶から消え去った、ブランパン・フィフティファゾムス

生前のジャック・フィスター。現CEOよりフィフティファゾムスを試着。

世界最古の現存する時計ブランドであり、サブマリーナより早くモダンダイバーズウォッチを世に送り出した名門ブランドであるブランパンですが、世間で認知度は決して高くありません。

 

しかし、1953年に初のモダン・ダイバーズとしてフィフティファゾムスが世に送り出された事は紛れもない歴史的事実です。ところがなぜ、フィフティファゾムスは認知されずに歴史の中へ埋没してしまったのでしょう?これは同社が生産活動を休止した事が大きな要因です。フィフティファゾムスを発表してから程なくして起きた「クォーツショック」によって、ブランパンはブランドとしての活動を中断しました。

 

時計界の再生請負人、ジャンクロード・ビバーによって1983年に再興されますが、その時点で、22年の中断期間があったため、フィフティフォゾムスやブランパンという名前は完全に世の中の人々の脳裏から消え去っていました。フィフティファゾムスはビバーによって1997年に「限定復活」しますが、その後ブランパンはスウォッチGへ売却、2007年にようやく定番コレクションとしてブランパンのラインナップに名を連ねるようになったのです。

運命の出会いがフィフティファゾムスを生み出す!

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ロレックスサブマリーナー、ダイバーズウォッチと言えば多くの人はこの時計を思い浮かべるはず

モダンダイバーズウォッチの人気製品はロレックスのサブマリーナーであり、オメガのシーマスターである事は間違いありません。両者は共に優れた製品ですが、フィフティファゾムも両者に決して劣らない、優れた時計です。もともと、フィフティファゾムスはフランス海軍の特殊部隊(潜水活動)用として開発・採用されました。しかしその採用までにはいくつかの偶然が重なった、奇跡のダイバーズウォッチであった事も忘れてはいけません。

 

1950年代初め、プロフェッショナル用のダイバーズウォッチを探し求めていたフランス海軍将校2人は多くのブランドから彼らのリクエストを断られ、藁にもすがる想いで既知の潜水会社から「ブランパン社」を紹介してもらい同社へたどり着いたそうです。

 

最後の最後に辿り着いたブランパン社の当時のCEOはジャン-ジャック・フィスターでした。CEO自らがスキューバダイビングを楽しむ人物であった事、さらにフィスターの号令のもと「ダイバーズウォッチの開発が進行中であった」という幸運も重なります。

二人の将校達の意見とフィスターのこれまでのダイバーとしての経験を融合して名機「フィフティファゾムス」は誕生しました。

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現代のダイバーがメインで愛用する腕時計はダイコン!

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「運命の出会い」から70年、エレクトロニクス製品の普及が始まった1980年代以降の潜水士(ダイバー)が愛用する潜水用時計は「ダイビングコンピューター」(通称ダイコン)が主流となっていくのです。

ダイコンは「潜水時間」、「酸素残量時間」、「水深」、「水温」といった潜水作業に必要とされる多くの情報をダイバーへ提供する、文字通り「コンピューター」になります。それさえあれば殆どの潜水作業は事足りますが、針式のダイバーズウォッチもダイコンのバックアップツールとして活用されています。

ダイコンの弱点であるケースの防水性や電池トラブル時には機械式ダイバーズウォッチが活用されますが、あくまでも針式のダイバーズウォッチは安全装置です。やはり現代のダイバーズウォッチの主戦場は陸上でしょう。

「薄い・軽い・長い」がネ三原則!フィフティファゾムスも該当する!

1953年から70年の歳月を経て、ダイバーズウォッチはプロフェッショナルが使用するよりも一般人が使用する割合の方が高くなっていることは間違いありません。そのため各ブランドも従来的な「デカイ・重い」からの脱却を目指しています。

38㎜のケース径でケース厚は僅か11㎜、でも100時間のパワーリザーブ

例を挙げればブランパン社のバチスカーフ5100-1140はケース径38㎜で、これまで筆者が所有してきたダイバーズウォッチの中では最も小さな物です。重量も軽くストラップを含めて約84gと軽量で長時間装着しても疲れません。(過去記事も参照してください)

そして特筆すべき点は10.8㎜という極薄ケースにも関わらずパワーリザーブは100時間である事です。またダイバーズウォッチでありながら精度も極めて高く、丸々1週間秒針の調整が不要という高精度さには驚きました。(あくまでも自己測定の範囲です)

これらの点からメーカーはこの時計を陸上で使用する事を想定している証であるとGoroは確信しています。

しかし70周年の記念モデルはどちらかと言えばプロフェショナル仕様にフォーカスした仕上げであることが特徴です。直径は47㎜でケース厚は約15㎜というデカ厚モデルになります。

 

今回ブランパンは写真家であるローラン・バレスタ氏の協力のもと、この製品を開発したそうです。という事はやはり70周年記念モデル、原点回帰したのでしょう。とはいえこの製品の良し悪しは評価が分かれると感じます。

理由はやはりこの大きさです。陸上使いでは決して無理があるサイズは、もしかすると単なる記念モデルとして時計ケースに収まったままになる可能性があります。皆さんはどう感じるでしょう。

筆者はダイバーズウォッチは高い防水性を備えた実用時計の方が良いと感じます。

 

バチスカーフのように!

 

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