「認定中古」から垣間見えるロレックスの苦悩!

こんにちはGoroです。2022年12月に日本ロレックスの公式HPで唐突に発表された同社初の「認定中古」プログラムは、時計メディア関係者(日本)へも事前告知無く、ヨーロッパで始まりました。さてこのプログラムは購入者目線では朗報なのか、改悪なのか?業界にこれから広がるであろう、「認定中古」プログラムを解説します。

ブヘラから始まる認定中古(CPO)は、初めから出来レース?

日本ロレックスの公式HPで、2022年12月初めに発表されたこのCPO(通称CPO:Cerfied Pre-Own Program 以下CPO) を筆者はまず「?」もう既に日本全国の正規店で始まっていると思いきや、どこにも問い合わせ先や購入方法は明記されておりません。

そこでイギリスの名門時計専門メディアWatch Proのニュースを見たところ、「まずヨーロッパで」の記載を目にしました。そしてブヘラから、このプログラムは開始されると記述されています。

今回の新しい試みが「ブヘラ」で初陣を切ると聞き、改めて彼らとロレックスの密接な関係を実感しました。筆者の世代は「スイスでロレックスを買うならブヘラ!」という文言を当時の時計専門雑誌で読んだ最後の世代かも知れません。

ロレックスのロゴが刻まれたスポーンセットはブヘラで貰えるとして、有名でした。ノベルティ以外でも「ブヘラと言えばロレックス」と言われる程有名で、筆者がスイス旅行に行った時のリーフレットには「ロレックスはブヘラで」のコピーがありました。

しかし一般のリテイラーとは違い時計ブランドも傘下に持っている事も忘れてはいけません。「カール・Fブヘラ」という優れた時計ブランドも持っており「高い技術力を持ったリテイラー」という側面も持っています。

今ほど有名では無かった黎明期のロレックスが、ブヘラで製品を取り扱って貰えたのは両社のトップ同士が同じドイツ人(ドイツ系スイス人?)だったからという話をカール・Fブヘラのショップで聞かされた事がありました。

いずれにしてもブヘラとロレックスは長年に渡るビジネスパートナーである事は間違いありません。そしてブヘラの持つ高い技術が今回のCPO採用の大きな追い風になったのは間違い無いでしょう。

日本でのCPO導入が当面先の理由は?

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いくつかの時計専門メディアの記事を見ると、「業界関係者の話して」日本での実現は「当面先である」との記述が大半です。

その理由として日本では従来から時計販売店が「①新品と中古ではっきり分かれて販売」、「②正規店では欧州のように中古製品を販売しない」スタイルが根付いている事がその理由だとしています。(クロノス日本の記事を参照してください

それ以外の理由として、日本における既存のロレックス正規代理店からの「抵抗」もあると筆者は考えています。

今回のCPOをもし早期に日本で実施するならば、手っ取り早い手法はブヘラの日本進出です。しかし、ブヘラの時計ブランド「カールFブヘラ」の日本代理店はロレックスの正規代理店でもある事も見逃せません。

そしてその正規代理店は日本国内では最もロレックスに対して影響力が強い代理店という説が有力です。

実際にその代理店の社長は、敗戦後に一般人が渡航禁止されていた時代の1950年代後半、ロレックスのスイス本社で当時の社長が、ハンス・ウィルスドルフと撮影した写真が存在します。

当時の社会情勢を考えるとその写真は、渡航禁止の時代に海外へ渡航できるほど彼らには政治力があった事の証です。実際に現在もロレックスブティック「レキシア」はその代理店が運営している位、日本ロレックスとも親密な関係である事がわかります。

実はロレックスは直営店進出を考えている?

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これは個人的な意見ですが、有能なビジネスマンであるロレックスCEO、Jean Frédéric Dufour(ジャン・フレデリック デュフール)氏が直営化を考えていない事は絶対に無いと思います。

ラグジュアリーの経営戦略としては一般的に「店舗は集約して直営化」の手法は今や常識です。これは集約する事で様々なコストが節約でき、利益率がアップし、さらに希少性を高めることで消費者の需要を高める効果があるとされています。

しかしロレックスの場合、生産数が多い実用時計ゆえにラグジュアリーの常識は簡単に当てはまりません。大都市に限定するラグジュアリーブランドでよく見られる旗艦店型の「直営ブティック」だと現在のユーザ需要とはマッチしない気がします。

さらに2019年よりのコロナ禍により需要が高まり、二次流通市場での相場高騰が事態を複雑にしました。ロレックスがパーフェクトストームコメントを発表したのも、そのせいかも知れません。

優良な中古販売店が多い日本ではCPOは苦戦する!

さて、日本でCPOを導入する見込みが無いもう一つの理由として、日本の中古市場では「優良な業者が多い」事も見逃せません。

筆者もかつて、近所の時計販売店にてカルティエの中古タンクを見ていた時、当たり前のようにオーバーホール(OH)を実施すると(料金込み)言っていました。実際、有名な中古販売業者ではOHの他に独自の2年、3年保証を付けている業者も存在します。

さらに言えばロレックスの中古市場は歴史があり、マーケットも成熟しています。新規参入のメリットはあるのか、しかし「メーカー保証」のお墨付きを求める人の存在も否定はできません。

それでも筆者は、日本でのロレックスのCPOは苦戦すると感じています。

日本国内の既存正規店たちの抵抗と、国内の中古販売店たちの質の高さもあって、ヨーロッパと同じにはならないでしょう。

しかしロレックスは中古製品を充実させる事で一定数の需要を満たし、また将来的なメンテナンス体制の構築構想も彼らの頭にある可能性も否定できません。日本でいつからCPOが始まるのか?注目です。

Goroの他のロレックス記事https://wearingwatch.com/wearing-watch/rolex-sports-support/

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