こんにちはGoroです。かつて腕時計は高級品ゆえドレスウォッチとして楽しむ時代がありました。しかし、時代の流れと共に徐々にドレスウォッチからスポーティーな腕時計へと人気が移行しています。これは腕時計の性能がアップしてスポーツに腕時計を使えるようになった事と無関係ではありません。その辺りを詳しく検証します。

ライフスタイルのスポーティー化が腕時計にも!

スポーティーウォッチの始祖はダイバーウォッチ?
写真は深海を潜れるシードゥエラー、映画ではサブマリーナーにNATOストラップを巻いている。

かつて腕時計はフォーマルなシーンでは、「ドレスウォッチ」を装着するのが一般的でした。その「正装に相応しいドレスウォッチの常識」を破壊したのが、1963年の「ドクター・ノオ」007のジェームズ・ボンドでした。ダイバースーツを脱ぐとサブマリーナーをそのままにタキシードを着たのです。

 

映画の中の出来事とはいえ、老舗名門テーラーが「映画配給会社へクレーム」を入れたという逸話もあったほど当時はショッキングなコーディネートだったとか。しかし2023年の現代では街で当たり前に見かけるコーディネートです。

 

実際に筆者が大阪で最もハイセンスなビジネスマンが乗降する御堂筋線の淀屋橋で、サブマリーナとビジネススーツとの組み合わせは多く見かけます。フォーマルなシーンでスポーティーウォッチをつける事は今や市民権を得たと言っても過言ではありません。

 

同様に比較されるのが車です。セダンに代表されるフォーマルなクルマは今や接滅危惧種です。2010年以降、ラグジュアリーでありながらスポーティーさを醸し出すSUV車が全盛となっています。

 

ちょうど腕時計の「ラグスポ」と「SUV」の流行りは同じ流れをたどりました。ただ筆者はこれは一時的な流行りというよりは実用性を考えた場合腕時計にスポーツの要素は不可欠になったと考えています。

 

とはいえ、単にカッコ良さだけでは無く腕時計の性能がアップした事も見逃せません。映画が公開される前の1950年代中頃から登場したダイバーズウォッチは、これまで水中では使えないとされた常識を壊した事も事実です。

 

映画の中で腕時計は爆破時間を確認するための重要なツールになります。水中から陸上のパーティー会場までスムーズに使える腕時計が存在しなければあの名作はもっとドタバタしていた可能性も否定できません。

ハリウッドスターもパーティ会場へ上のようなSUV車で乗り込むのは違和感が無い!ラグジュアリーでスポーティー

地球温暖化で腕時計に求められる高い耐水機能!

かつての腕時計に水は大敵でした。スポーツ時計の代表格ロレックスが人気となった理由は、オイスターケースとねじ込み式リューズで全ての腕時計に100M防水を実現した事も見逃せません。

しかし、そんな高い防水機能を持った腕時計はヨーロッパよりもアメリカで人気となりました。アメリカでロレックスがブームになった理由として、彼らが毎日同じ時計を使うのを好んだ事も背景にあったそうです。防水性が高く金属製のブレスレットを標準としていたロレックスは彼らの需要を満たす物でした。

 

とはいえ同じ腕時計を使う事は、ファッション見地からすると決して良くはありません。筆者にすれば、「毎日同じ服を着る」のと同じ感覚です。

高価な時計は1本で十分という一部ユーザーの意見も理解できますが、ファッションとして楽しむならできるだけ使い分けすべきだと思います。その解決策として、開発されたのが、近年各ブランドで積極採用されている「簡単なバンドの付け替え」です。

https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/collections/overseas/4500v-110a-b128.html 写真のようにオーヴァーシーズはラバーストラップへ工具無しで簡単に交換できる。

2016年にヴァシュロン・コンスタンタンがオーヴァーシーズで初めて採用した「工具なしで交換できるブレス(インターチェンジャブル・ストラップ)」はそれ以降他ブランドでもみるみる採用されています。

 

地球温暖化により気温が上昇、日本を含むアジア地域では高温多湿ゆえにストラップはレザー製品より金属製のブレスレットの方が利便性に富んでおり、また簡単に洗浄(水洗い)できるので清潔です。

 

装いの違うストラップがあれば、旅先では1本の腕時計でもストラップを変える事で、フォーマルでもカジュアルにも対応できます。

ヴァシュロン・コンスタンタン(以下VC)はオーヴァーシーズの初代モデルを「旅」をテーマに着想を得て開発、2016年からは前述したストラップを変えるアイディアで、オーヴァーシーズの人気を不動にしたのです。

 

実際2010年代後半からブームになったメタル(金属製)ブレスレットを標準装備したラグスポというジャンルの腕時計が各ブランドから多く登場して以降、この「インターチェンジャブル・ストラップ」を採用するブランドは増えて、業界としても新しい愛好家の開拓にも成功しました。

2022年スイスからの時計輸出量No.1の座を中国から奪還したのはアメリカです。これにはラグスポ人気の影響もあるでしょう。

スマホ、タブレットは磁気の塊!腕時計に求められる耐磁!

現代社会では上記以外の理由でも防水性の高い時計、ダイバーズウォッチが人々から、求められています。

その理由はエレクトロニクス・デバイスの急速な普及が原因です。スマホやタブレットはみなさんご存知の通り、機械式時計の大敵である強い磁気を発生させます。特に小型のネオジム磁石の実用化以降、それらがスマホのスピーカー部分に多く組み込まれています。

 

ここ数年時計の修理メンテナンスで持ち込まれる故障内容では関係者の話を総合すると「磁気帯び」の修理が増加傾向にあるそうです。

機械式時計は従来水と磁気に弱いのが特徴で、特に年代物のアンティーク時計は輪をかけて弱いです。とはいえ、現代生活でスマホ無しの生活を送るのはほぼ不可能でしょう。

 

そこで筆者は過去記事でも紹介していますが、耐磁性を持ち合わせたスポーティーウォッチを推奨しています。その中でもダイバーズウォッチはピカイチです。従来潜水作業では1950年代より耐磁を備えた機能が求められていました。

現代のダイバーズウォッチもその伝統を引き継いでいるのが特徴です。

 

実際に高い耐磁機能を理解してダイバーズウォッチを購入している愛好家も多いと聞きます。さらにファッションのスポーツ化もあって今や「ダイバーズウォッチにスーツ」という組み合わせに眉を顰めるのは一部の保守的な層の人たちだけでしょう。

スポーティー化と使い分けでファッショナブルに!

さて世界に目を向けるとどうでしょう?筆者は2023年のウォッチ&ワンダーズの公式HP冒頭で流れる動画を見ましたが、ファッションのスポーツ化やカジュアル化は避けて通れないと痛感しました。

 

男性はスーツ姿ですが、ほぼノン・ネクタイ、人によってはスニーカーを履いて談笑している姿を多く見かけました。女性もパンツルックが増えてカジュアルでスポーティーな装いが殆どです。

 

日本では相変わらず皆スーツにネクタイが当たり前ですが、最早このファッションは時代遅れでしょう。スポーティーさを備えた腕時計をつけて、カジュアルかつスポーティーなファッションを楽しみましょう。

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