こんにちはGoroです。時計相場が落ち着きを取り戻していますが、相変わらずロレックスだけは、人気が続いています。そのロレックスと言えば認定中古プログラム(以下CPO)が開始されると報道されましたが、日本ではまだいつから始まるのか定かではありません。いったいどうなっているのでしょう?

ロレックスCPOは欧州と北米では既に始まっている!

さてヨーロッパやアメリカでは既に色々な有力小売店がCPOに参入する報道が流れています。2023年11月に入ってからアイルランドとアメリカでもこのプログラムに新たなリテイラーが参加表明しました。

 

それに対して、世界第4位のスイス時計の輸入国日本では未だにCPOの情報が、全くアナウンスされないのが実情です。日本でなぜこのプログラムが始まらないのかと調べると、日本独特の事情がある事がわかりました。まず日本でロレックスの販売形態は正規店に関しては全て新品のみを取り扱うという、欧米のリテイラーには見られない販売形態である事が障害となっているという記事を発見しました。

WEBクロノス2023年1月の記事

 

確かに街中を見渡せば、中古を取り扱う業者は新品も販売していますが、あくまでも並行店です。彼らは日本国内では正規店の認定を(日本ロレックス?)貰えていない事がわかります。

 

ロレックスCPOが導入されない、日本市場の歴史

さて、前述したように中古と新品が敵対するように分断された現在の日本の時計小売市場でCPO導入は難しいかも知れません。筆者が初めてロレックスを購入しようと考えた時期、日本国内のロレックス販売の主役は並行店でした。時代は並行輸入個人輸入という、貿易の自由化が始まった時期と重なります。

 

2000年代初頭に正規店が集約整理され、それまで日本国内でのロレックス(新品)小売販売の構図は並行店が安く、正規店は割高という構図でした。また正規店も今より店舗数も多く、スモールビジネスを展開する街の時計店でも日本ロレックスの正規店看板を掲げているお店が多数存在しました。

 

そのためか当時は正規店でも正規品(日本ロレックス)と並行輸入品を混在して販売するという、現在では考えられない販売形態でした。実際筆者が購入した店舗ではAir−Kingは日本ロレックスの正規品、エクスプローラー1並行品プレミア価格だったのです。

ロレックスCPOは自由公正な世界市場においてブランドが求めるもの

とはいえ、これは違法ではなく、むしろ自由公正という観点から見ると昔のロレックス販売の方が健全だったのです。逆に現在のように正規店の価格が全ての店で同じである事は、独禁法の観点から見ると不健全とも言えます。当然ラグジュアリーブランドの取締役達は、世界各国の法規制を専門家と相談しながらビジネスをチェックしているのが通常です。

 

ここで難しいのがブランド価値を損なわないブランドビジネス、特に重要なのは販売価格の安定化や自由公正なグローバル・ビジネスでは、どの国においても販売価格をブランドが販売店に圧力をかけて販売価格を強制する事は価格協定とされます。ただ販売店がブランドの直営店であればその限りではありません。

 

近年ラグジュアリーブランドが、直営店(ブティック)を増加させているのはそのような事情も背景にあるからです。2000年以降、日本でもロレックスの販売店が集約されましたが、全て直営店ではありません。ロレックスは世界中の販売ネットワークを見ても直営店はジュネーブに1店舗あるのみです。ただ歴史的に見てもスイス時計界は元々分業化伝統だったため、直営店舗が増えてきたのは21世紀に入ってからになります。

 

並行差別は独禁法違反?日本時計販売に存在する閉鎖性

独占禁止法の概要 gaiyo.html

 

これは個人的意見ですが、日本国内の腕時計販売業は閉鎖的な側面が多々あります。「噂レベル」のものはここでは書きませんが、確実に存在する事例では正規メンテナンスの並行差別が有名です。(関連記事

 

正規店以外で購入した腕時計正規メンテナンスの受託拒否、または高額なメンテナンス料金を取る行為になります。出生は同じスイスの本物であるにも関わらず、流通ルートが異なるだけでメンテナンス受託を差別する行為です。しかし自由公正なマーケットを推進する資本主義では、流通経路が異なる事だけで自社製品のアフターサービスを締め出すのはグローバル企業としては頂けません。もちろん日本国内でも公正取引委員会がそのような行為を野放しにはしません。

 

並行輸入業者のメンテナンス受託拒否は時計業界以外にも存在しています。合理的な拒否理由があれば、その全てが独禁法違反になる訳ではありません。とはいえ時計業界における並行差別は独禁法違反の可能性がきわめて高い事例です。

まとめ

 

欧米でこれだけCPOが普及してきているのに、日本の正規店は中古品は原則取り扱わないというのは通用しません。僕の推測ですが、間違いなくロレックスの本社と日本の代理店との間で双方の落とし所を考えているはずです。しかし日本のこれまでの商習慣で正規店が中古を取り扱う慣習は無く、代理店が難色を示すことが予想されます。日本でCPOがいつから始まるか注目です。

 

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