こんにちはGoroです。先日ソーシャル型ニュースサイト、NewsPicsで紹介されたブルームバーグの記事に筆者がコメントしたところ、多くのリアクションがありました。世間でも関心が高い時事ネタを少しばかり解説、筆者の独断で分析してみますので、参考にしてください。

ロレックス市場2年ぶりの安値に注目

ブルームバーグに掲載された記事に関して言えば、時計愛好家たちは既知の事実として受け止めていて、むしろその報道によって自分達の感覚を再認識したというのが本音でしょう。時計愛好家が愛用するECサイトChrono24でもその傾向は顕著に現れています。

 

前述のChrono24のデーターでは2022年4月がピークとなっていました。ブルームバーグが紹介しているデータでも同様の数値を示しています。とはいえ、2020年頃までの数値と比較するとまだまだ高値水準であることは間違いありません。時計愛好家たちはこの記事により「時計相場の高騰は終焉した」と安堵したと思います。しかし筆者はそれ以上に経済ニュースにロレックスが対象となる事にビックリもしました。

ロレックスがなぜ時計に興味の無い人にも購入されるのか?

とはいえ、このような報道を見るとまだまだロレックスを投資対象として見ている人が存在します。というのも正規店で購入したロレックスを買取店へ持ち込めば、利益をあげる事ができるからです。

 

実例を挙げると正規店販売価格¥1,193,500のロレックスサブマリーナー REF124060は買取店では未使用品が170万円で買取価格と記載されています。つまり前述のモデルを購入してその足で買取店へ持ち込み売却すれば、50万円の利益が発生するのです。高級腕時計を投資用として購入する人もこれと同じで、購入時より資産価値が増えていれば利益が発生します。近年はWEBの普及に伴い情報入手が容易くなり、気軽に腕時計を投資用として購入する人が増えているのです。

 

市場変動の裏に潜む、ロレックス相場の謎?

近年の中古時計市場は、ロレックス以外のブランドも対象となっています。パテックフィリップやオーデマピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンという三大ブランドもその対象です。

 

とはいえ、ブランドとして格上の彼らですが、中古高級時計相場の中心には決してなることはありません。最大の理由としては、生産量の違いです。かつてロレックスの生産量は年間60万から70万本と言われていました。それに対して前述した三大ブランドの年間生産数はそれぞれ3〜4万本前後です。一般的に高級ブランドは生産量を抑える事によって希少性を高めてブランドとしての価値を高めると言われます。

 

生産量が多いと希少性を保てなくなり、ブランドの価値が下がると言われる中、ロレックスは三大ブランドより多くの製品を生産しながらかつ他の時計ブランドより若干少ない生産量でブランドとしての価値を保っている事が特徴です。

 

ロレックスも近年は高い需要に応えるため、自社の生産設備を増強しています。それにより最新の情報によると生産量は年間120万本生産しているそうです。しかし生産量が増えて需要が満たされた事によって中古市場価格が落ちた訳ではありません。あくまでも、一般的に言われる投資マネーが撤退した事によって元の相場に戻った事が相場下落の大きな理由です。

 

並行輸入業者の存在が独自のロレックス市場を作り出す?

さて日本では世界のロレックスの中古市場とはまた違う、独自の中古市場を持っています。まず日本の中古市場に流通している時計の品質の高さが特徴です。

 

そして世界に類をみない並行業者の多さも挙げられます。筆者が30代の頃1990年代後半ではロレックスの新品市場を牽引していたのは並行業者でした。彼らの方が日本ロレックスの店舗で購入するより料金が安い事が特徴でした。

 

それゆえ、当時は正規店で購入する人は少数派で、大半の人たちは並行店でロレックスを購入していたのです。当然業者は併せて中古品も取り扱うため、日本で中古市場が発展した大きな理由の一つと推測できます。

グローバル化と直営化によってロレックスも変化を迫られる!

しかし並行輸入業者にとってもロレックス正規店との間にあった住み分けも世界市場のグローバル化によって大きく変化します。同時期に世界的なスポーツブランドがこれまで日本国内のマーケットをライセンス契約で代理店に丸投げしていた業態から、直営化や専門ストアになったように時計ブランドも同様の変化が生じます。

 

時計ブランドはその多くが、ラグジュアリーブランドのグループ傘下に入り店舗運営をラグジュアリーブランドの下で行うようになったのです。時計の場合は専門性を前面に出した直営ブティック化が進むようになります。

 

直営化に関してはこれまでロレックスの腰は重い状態が続いていましたが、2022年12月にブヘラで認定中古プログラムが開始される事を発表、矢継ぎ早に今度はそのブヘラの買収を発表しました。筆者の過去記事を参考にしてください。

 

欧米では続々と有力リテイラーから認定中古を開始する報道がある中、日本では全くと言っていいほど動きがありません。筆者の個人的な意見ですが、ブヘラ買収はロレックスの実質的な直営化の布石と考えています。

 

日本の有力代理店が認定中古に待ったをかけているのか?別の事情があるのかはわかりません。しかしスイスからの時計輸入量世界第4位の日本において、ロレックスが何も動きを見せていないのは不思議な感じがします。今後はロレックスの認定中古の開始時期にも注目したいです。

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