腕時計上級者を目指す、ビギナーと中級者のブログ

カテゴリー: 腕時計購入事情

グランドセイコー購入は今がチャンス?決して高価では無い理由は?

2022年は年始よりスイス時計ブランドの値上げが相次ぎ、腕時計正規価格は高騰中です。そんな中、国産時計はどうなのか?日本を代表する「グランドセイコー」も価格は上昇傾向にありますが、2022年2月時点で値上はされていません。ただ、将来的な販売価格アップはアリだと思います。その理由を考察します。

①順調に進むグランドセイコーのブランド化

SBGA443

時計に興味関心が無い人たちがタイトルにある「グランドセイコー(以下GS)は今が買い時」を見ても、たぶん理解できないでしょう。GSの価格帯は80万円から90万円が主力モデル、十分に高い!と一般人からは思われます。

さて腕時計ビギナーにしてみれば、時計相場は安い方が良いと考えるのが自然でしょう。上記の価格帯が主力でもGSの現行価格はお買い得だと言えます。

GSの販売価格(2022年2月時点)はスイス時計ブランドと比較すると明らかに割安です。写真下のSBGJ235はブティック限定モデルであるにもかかわらず、税込¥737,000。スイスブランドでは同程度だと90万円以上はすると思います。また限定モデルは高いのが一般的ですが、なぜか安いので僕もビックリしました。

SBGJ235

GSは、そもそもSEIKOが世界で勝負するブランドとして2017年にSEIKOから独立したブランドです。それまでは同社のフラッグシップと位置づけていたものを同年のバーゼルワールドで、世界中の時計メディアや関係者へブランドの独立を宣言しました。

独立した事を示すようにこれまで文字盤12時の位置からSEIKOの文字の代わりにGrand Seikoへ表記を統一して、ブランドロゴのアイコン化を進めます。これは2010年から進めてきた、GSの海外進出をより踏み込んだ内容にしたもので、彼らの覚悟が伺えるものです。

2017年からは国内での拠点の拡充に努め、僕の住む大阪でも2019年に心斎橋に「グランドセイコーブティック」がオープン。そしてこの2022年はそれに隣接して拡充するような形態で「セイコーブティック・大阪心斎橋」をオープンさせます。

これまでの日本企業は世界を目指す時に、安価で優れたものだけしか作らないという発想を捨てられなく、それゆえ日本企業はブランド化を達成できていませんでした。

そう、グランドセイコーの目指す頂は、これまで日本企業がなし得なかった、ブランド化なのです。

➁ブランド化がGSの株主・投資家へのコミット!

日本企業はブランド化できていない?世界で勝負できているメーカーはたくさんあると思われていますが、専門家(経済学)の見方は全く違います。(リンク先参照

リンク先専門家2人が挙げる日本企業の問題点は安価な物しか作らない事、さらに欠けている点としてグローバル化ができていない事をあげています。日本企業が実施している海外進出や輸出、これだけではグローバル化ができたとは言えません。

ラグジュアリーブランドにおけるグローバル化とは価格の統一化、どの国で購入しても同じ価格、同じ品揃えである事とされています。世界的な有名ブランド時計、ロレックスを見れば明らかでしょう。

未だGSは日本国内向けや海外向けで、商品ラインナップを分けています。次のステップとしてこれらを止めて「日本市場はグローバル市場の一部」と自社でも位置づけ、そうする事で世界中からブランドとして認知される、としています。

価格の統一化と並行して、価格を下げる事ばかりを注視するだけでは、ブランド化の達成にはつながりません。これが僕の考えるGS値上げの根拠です。

セイコーホールディングス公式HP上にあるIRニュース欄、2021年11月に発表された2022年3月期第二四半期報告書によれば、グランドセイコーとプロスペックをGB(グローバル・ブランド)と記載しています。

この報告書の内容は投資家や株主に対して「グローバルブランド化」がコミットメントで、この内容に沿った経営が取締役会の責務です。そしてブランド化における製品の値段設定も重要になってきます。

③北米市場の好調さは値上げの後押しになるかも?

現状のグランドセイコーは世界市場では前述の2022年3月期第二四半期報告書にも北米市場が伸長していると表記されています。そしてGSにとってのドル箱、北米市場はスイス時計にとってもドル箱です。

2021年FH(スイス時計協会)の発表ではアメリカ向けの輸出量が、首位の座を奪回したと報道されました。そのアメリカ向け輸出量の増大において、かつて無い変化が見られると時計ジャーナリストの渋谷ヤスヒト氏がWEBChronos日本版へ記事を寄稿しています。

内容はアメリカ人の時計嗜好がこれまでの低価格帯から高価格帯へシフトしていると、まとめています。

スイス時計のアメリカ向け輸出高では首位に返り咲き、それを裏付けるように輸出する製品も、年々プライスアップしています。まさにホットな市場アメリカでGSは注目を浴びています。

アメリカ市場でGSが受け入れられた理由は彼らの嗜好に対するスイス・ブランドへの拘りが少なかった事ともうひとつ、将来性を見込んで新規上場銘柄のGSを購入しているのかもしれません。

株式で新規上場銘柄を購入するのはズバリお買い得感、アメリカの時計愛好家が入手困難になる前にGSを購入しようと考えるのは自然な流れです。

④外観デザインさえ嗜好に合えば、より一層際立つムーブメント

https://www.grand-seiko.com/jp-ja/about/movement/mechanical/9s86

かくいう筆者Goroもそう感じている一人です。特に通称「白樺モデル」が発表されて以降欲しくなり、安いとも感じています。かつてGSはデザイン面で難(個人的な感想)があり、欲しくなることは無いと周囲にも表明していました。

前述した白樺モデル二十四節気モデルを見て以降、僕のGSの否定的なトーンは日に日に下がってゆきます。

この白樺ダイヤル(GSはダイアルでは無くダイヤルと表記)は7回にも及ぶ型打ち作業と表面仕上げは4つの工程を経た後、手作業の仕上げ作業へ引き渡されます。この筋目加工は僕が知る限りスイス時計で見たことが無い、希少なダイアルです。

さらに言えばムーブメントは非の打ち所がないと思っています。部品数も200近い数に36,000振動を誇るムーブメントはスイスブランドを凌駕している匠の品です。

欲しいと思った時に購入しないと後悔する!

さて上記①から④までの理由によってGSが近い将来値上げするため、今が旬と考えています。となると、みんなの関心事は、どのタイミングで値上げになるかでしょう。しかし値上げを気にしてばかりではいけません。

時計の購入に関しては欲しいと思った時に購入しないと「値上げ」さらには「人気上昇」、「入手困難」となり結局購入できない経験を僕はこれまで経験しました。もしGSが欲しい時計であるなら今すぐ購入すべきです。

それともうひとつ、このGSが高い時計と感じている人は無理に購入する必要はありません。時計は趣味の世界の物です。そして本当にこの時計の良さを探求すれば、今の販売価格がお買い得かすぐにわかると思います。

腕時計ビギナーにしてみれば、欲しい時計はいつかは手に入ると思いがちです。しかし最近は情報の伝達が速く、良い時計の情報は即座に知れ渡り奪い合いになります。

特にGSは生産量も少なく、生産工程を見ていると即座に増産できるとは考えられません。今グランドセイコーが欲しいと思い購入を検討している人は早めに希望のグランドセイコーを検討してください。

ティソ・アウトレットから感じる、ティソの好調さ

こんにちはGoroです。僕の年始はここ数年、アウトレットモールでのショッピングが定番になっています。2022年年始(1/2)も例年通り「りんくうアウトレット」へ出かけショッピングしてきました。そして例年通りティソ・ショップを訪問しています。そこで感じたティソの好調さとその理由を僕目線で解説します。

昨年販売していた福袋が、今年は無し!

https://www.pexels.com/ja-jp/photo/5869619/

ご存じかもしれませんが、Goroはティソの大ファンです。ティソを好きになったきっかけは、りんくうアウトレットモールでティソ・ショップを訪問してからになります。同社製品の質感の良さと優れたデザインは、今でも脳裏に残り僕の時計購入の基準となっています。

さて、2022年りんくうアウトレットショップで驚いた事は福袋が無かった事です。前年は機械式時計2つを99,000円で販売する福袋があり、その時はバラードを購入しました。2021年は発売前に先行予約受付のメールがショップから届いていました。

しかし、今年2022年は「先行予約メール」も無く、実際店舗へ行くと「ハッピーバッグ販売はありません」との貼紙が貼っていました。

店内を見渡すと個人的な感想ですが、明らかに昨年より在庫が少ない状態。ただ、念のために記しますが、あくまでもアウトレットは、「正規店での売れ残りや旧モデル」が販売商品の中心です。

現行品の売行きが好調なら、アウトレットに流れる商品は減ります。この品揃えを見る限りティソの正規店では順調に現行モデルが売れたと推測できます。

ティソのアウトレットをこれまで愛用してきた僕にすれば少々残念ですが、現行品の評価が高まってきた事は素直に嬉しいです。

ティソが好調なのは数字にも表れています。彼らの2019年の売上高11億CHF、スイスのエントリーブランドは軒並み崩壊状態の中、順調に売上を伸ばしているブランドのひとつです。(クロノス日本版91号より)

出すモデルが次々ヒット、過小評価された日本で知名度アップ

日本市場でのティソの立ち位置は価格帯的にSEIKOと重なり、彼らの牙城を崩せない状態が長く続いていました。それでもティソは常日頃店頭で、デザインの優位性を訴えています。そして、ここ数年の時計造りにも反映されている気がします。

ティソはSeastar1000以降の新製品が好調で、ジェントルマンもそれに続きヒットさせます。ちょっと前まで、知る人ぞ知るブランドだったティソの知名度はこの2製品によって明らかに上昇しました。

これら2つのセールスが好調だった理由はデザインが良く、純粋に見た目がカッコ良かった事が最大の要因です。価格云々も当然然り、パワーリザーブも80時間とスペックも優秀ですが、外観のスタイリッシュさが受けたと感じています。

2つだけに留まらず2021年はPRX、Seastar2000、PRXメカニカル、さらに12月にはTタッチも好評で今は正に「飛ぶ鳥を落とす勢い」なのです。

2021年1月には日本での直営店舗環境もアップします。東京の人はご存知でしょうが、銀座のハイエックセンターにティソの銀座店がオープン、しかもこのりんくうアウトレットの前店長さんが銀座店店長として、就任しました。

優秀なティソのスタッフさん

店舗設備環境と併せスウォッチグループジャパンは優れた人材の宝庫の印象も受けます。ティソの直営店全てにスウォッチグループ社員さんたちが、販売の前線に立ち、最高のもてなしを提供してくれます。

https://www.tissotwatches.com/ja-jp/magazine-news-54.html/

そんな日本をティソCEOシルヴァン・ドラ氏はWatch Time誌のインタビュー中、「成長の見込めるマーケット」と評しています。さらに彼は日本におけるティソが、過小評価されていると位置づけています。

CEOの目線の先は日本を含むアジア市場、就任して僅か半年少々で積極的な投資を展開しています。前述した銀座店のオープンも資金投入の一環なのでしょう。インタビューで、CEOは触れていませんが、人材育成へも強化している印象があります。

実際僕が知っている範囲でもブレを経てからティソの店舗へ行く人事ローテーションが行われています。価格帯こそ違えど時計を売る事は同じ。ただ複数のブランドを経験する事は商品知識も向上しますし、何より多くの時計に接する機会が増えます。

ティソのスタッフさんは時計をつけることで「豊かさを感じて欲しい」という想いを皆さんで感じさせてくれるのです。また外国人スタッフの多さも好感が持てます。

異国の地で未知の言語である日本語をマスターする向学心の高さに僕はいつも敬服します。

ティソの人気と好調さは目が離せない

さて、品揃えが少ない中でも掘り出し物がありました。珍しく妻が選んだモデルが写真の腕時計になります。(T101.207.16.111.00

僕の妻も腕時計ビギナーで、機械式時計は初めてです。彼女曰く「時計は自分の所有物にならないと愛着が湧かない」と言っていました。腕時計は所有する事で興味を増す事が妻で証明されました。

今回のティソ・アウトレットの品薄は、ブランドの勢いと現行品の好調さを感じた気がします。ティソは侮れません。価格が安いから、良くないと思うのは大いなる勘違いです。

僕の記事で何度書いていますが、近年の50万円以下ブランドの時計製造能力は目を見張るものがあります。つまり価格だけで時計の良し悪しを測ると、本当に良いモノがみえなくなります。

個人的な感想ですが、ティソを知ると100万円以下のミドルレンジ・ブランドを買う気がしなくなります。今回アウトレットで購入した時計は、3万円という破格の値段。ますますその想いが強くなりました。

皆さんもティソ・ブティックへ足を運んでみてください。

100万円超えの腕時計を購入することは、バカでは無い!

こんにちは、Goroです。僕ら「時計好き」は、世間の感覚と比べ明らかなズレがあると日々感じます。そのギャップは「100万円超えの腕時計を普通」と感じる点です。これは高額な時計を常に見聞きしている事が要因でしょう。でも実は時計を突き詰めていくと100万円超えの腕時計に行き着きます。さてその理由はなぜでしょう。

100万円超えの腕時計、富裕層ばかりが買うものではない

https://www.pexels.com/ja-jp/photo/242246/

まず、世間一般で言われる、時計愛好家は富裕層もしくはそれに準ずる人たち、という意見から検証しましょう。

野村総研が2020年に実施したアンケートでは1億円以上の「純金融資産保有額者」を日本では「富裕層」と位置づけているそうです。おおまかですが、全人口の約2%と同シンクタンクは算出しています。

しかし、その全国民の2%にあたる富裕層全員が、腕時計に興味あるわけではありません。僕の予想ですが、その富裕層の中でも数%の人たちしか興味が無いと考えます。

そもそも腕時計を客観的に見た場合、富裕層とはいえ100万円以上の費用をかける事はナンセンスです。巷にはスマホ、街中に時計表示は溢れており、時間を知るためだけに100万円以上の費用支出は実用的とは決して言えません。

富裕層の多くが高級車などの高額商品を購入するのは実は節税対策です。皆が皆、車に興味がある訳ではありません。特に高額商品の中でも高級時計の費用計上は会計上困難で、「富裕層だから高級時計を買う」という理由は成立しないでしょう。

100万円超えの腕時計購入者は基本時計愛好家

私物の書籍

ではどんな人たちが100万円超えの腕時計を購入するのでしょう。答えは極めて簡単、腕時計に興味を持つ「愛好家」たちです。一般の人には理解されませんが、時計愛好家が100万円超えの腕時計購入に行きつくのは自然な流れです。

繰り返しになりますが、数学で言うところの高級腕時計購入者は富裕層の必要条件であって、十分条件ではありません。つまり、高級腕時計購入者が必ず富裕層では無いのです。中間層の人も居れば、それ以下も居る。借金して購入する人も大勢いるでしょう。

情報が豊富かつ入手しやすい社会になった

ラップトップでパテックフィリップのコレクションも簡単に調べられる

では時計好きあるいは愛好家たちはどのようにして100万円越えの腕時計に到達するのでしょう。いちばんの要因は時計を直に見て触れるか、情報を手に入れるかだと思います。一般的に考えると情報の入手が購入へと結びつく一番の要因です。

最近はインターネットの普及、中でもSNSが彼らの購入に大きな影響を及ぼしています。

紙媒体(雑誌・ブックレット)のみの時代は、時計の画像は「公式画像」しかありませんでした。それに対してSNSでは所有者しか見る事ができなかったアングルの画像が、瞬く間に世界中へ文字通り、共有(シェア)できます。

また公式画像というのは意外に実機とは異なる物が多いのです。そのため店舗で見てがっかりする事例もよく聞きました(逆もあり)。ただ、生産数が少ないブランドは仮に店舗まで足を運んでも見られないことが多いのです。

パテック・フィリップオーデマ・ピゲヴァシュロン・コンスタンタンブランパンブレゲと言った年間数万本しか生産しないプレステージ・ブランドが100万円越えのモデルを多く生産しているメーカーです。

これらブランドの人気モデルは、スイスから日本へ輸出する本数も少なく、かつてはブランドの顧客以外は見られなくメディアでも紹介されないこと多かったです。

しかしSNSを屈指すればそんな希少モデルの情報誰もがスマホ一つで、効率よく得ることができるようになりました。SNSは時計情報の裾野を大きく広げ、名門ブランドの認知度アップにも多いに貢献しました。

パテック・フィリップ広告展開の変化、潜在顧客の掘り起こし

https://www.patek.com/en/home

一方メーカーの広告への取り組みにも変化が見られてきました。前述したようにプレステージブランドは生産本数が少ないことから、これまで古くからの顧客を何代にも渡り継承する営業スタイルを信条としていたのです。

時計も高額で、対象を貴族や権力者と言った今で言う「セレブリティたち向け」と考え、末裔まで半永久的に販売していました。そのため積極的に外部へ情報発信する必要も無く、「馴染み客」のみへ情報を知らせていれば良い、時代が長く続いていました。

実際1990年以前まで、日本国内で同社の広告を見る機会は殆どありませんでした。下の写真は珍しい1977年の広告(日本代理店)です。

1977年当時のパテック広告・筆者私物書籍より

しかし顧客ターゲットをよりワイドにシフトする、いわゆる潜在的顧客の掘り起こしを始めたのです。

例を挙げるとパテック・フィリップは1996年から「ジェネレーションズシリーズ」として広告展開を改革します。時計本体を前面に押し出さないブランドイメージを印象付ける内容が特徴です。リンク先と写真を比較してください。

これは代理店変更による産物でした。この変更はパテック・フィリップの危機感の表れだったのでしょう。長年のパートナーを変更する事自体、名門ブランドではあまり見られない決断、しかし今となっては「英断」でした。

この広告展開の変化によって、パテック・フィリップの認知度もより広く知れ渡るようになりました。優れた製品である同社のモデルは潜在顧客の掘り起こしに成功、さらに多くの時計愛好家を生み出します。売上も広告効果でアップしたそうです。

工作機械の発展、ベーシックレンジブランドの品質向上

さらに2000年に入ってからの時計工作機械の性能アップも時計愛好家たちを100万円超えの腕時計へとよりシフトさせます。

これまで時計愛好家が求める価格帯は圧倒的にミドルレンジ(100万円~50万円ほど)でした。「手の届く高級時計」と言われ、メーカーにとってもこの価格帯は「金脈」でした。

それ以下のベーシックレンジ・ブランドは大量量産に特化して、価格を下げていました。

ミドルレンジ・ブランドは量産できる工程は工作機械に委ね、手作業しかできない工程を熟練職人が仕上げるのが一般的でした。これにより、高級感のある製品を一定数量以上生産することで、販売価格帯を抑えていました。

しかし、最新の工作機械は手作業でしか表現できなかったミクロン単位の仕上げ調整が可能となり、ベーシックレンジブランドの仕上げ技術はミドルレンジ(場合によってはそれ以上)を凌ぐほど大きく向上したのです。

つまりベーシックレンジの製品はミドルレンジと同等、もしくはそれ以上の製品を提供できるようになり、ユーザーもその事に気付いてきました。結果敢えて高い価格の時計よりも価格も安く高品質なベーシック・ブランドへ流れるようになったのです。

ユーザーの目利き力アップも要因

https://www.pexels.com/ja-jp/photo/10356533/

前述した情報量のアップ、さらに工作機械の性能向上による仕上げレベルの向上によって、ユーザーの「時計の目利き力」は年を追う毎にアップしています。こうなるとベーシックレンジ経験者は次の時計をミドルレンジスルーしてプレステージへ流れるはずです。

ベーシックレンジで、ミドルレンジの質感を体験しているわけですからね。敢えて、ミドルレンジに費用投下するより、その費用をプレステージ用としてプラスする方が、費用効果もあり現実的です。

リテイラーネットワークの変化も追い風に

https://www.blancpain.com/ja/points-sale/furanhan-futeitsukubanjiumetabendian

そして腕時計販売、最前線のリテイラー網の変化も見逃せません。現在主流のブティックはブランドの直営店化が進み、ユーザーの声がダイレクトに本国スイスまで届く事が特長です。

そして過去記事にあるブティック化こそが、ブランドが求めていたマーケティング・データーを集め解析できるデバイスになっていると僕は思っています。老舗名門リテイラー経由の場合、個人単位では無く、どうしてもファミリー単位でのマーケティングになるはずです。

直営になり最新の手法でピンポイントかつ個人の嗜好を汲み取ってもらうことは、愛好家が求めている物と合致するマーケティング手法そのものだと僕は思います。

まとめ

情報が溢れる21世紀の腕時計愛好家は遅かれ早かれ、100万円超えの腕時計へ到達する時代になっています。この腕時計の2極化はザ・アワーグラス・ジャパン社長、桃井さんも雑誌でそう答えているので、間違いないでしょう。

時計愛好家の皆さん、あなたが今購入しようとしている「100万円越えの腕時計」は自然の成り行きなのです。世間の冷たい目に負ける事無く、自信をもって購入してください。

老舗百貨店の60回無金利ローンから考える、高級腕時計の国内事情

先日僕は阪急百貨店の6階で衝撃を受けました。「60回無金利」というポップがほぼ全てのブランドの売場で掲示されていたのです。これは驚きと同時に日本がいかに不景気の波に飲まれているか再実感した瞬間でした。しかし腕時計って売上が伸びているのでは?どういう事か、詳しく紹介します。

高級腕時計売上、対前年増のカラクリ

https://www.pexels.com/ja-jp/photo/3989901/

日頃からTV新聞を見ている人にすれば、高級腕時計ってコロナ禍でも「伸びている分野」と誤解している人も多いでしょう。確かに今年春ごろに発表されたTVニュース、対前年比では伸びています。

しかし冷静に考えれば比較する前年の春(2020年3~5月)はまさにコロナ禍、百貨店はやっと緊急事態宣言から営業を細々と再開した付近でした。つまりどん底状態の頃の数字が基準になっています。

そんな状態の百貨店の売上を基準に「アップした」と言う事自体おかしな話です。これはあたかも会議の席上で中間職の面々が経営幹部へゴマカシ数値を報告する姿と重なります。

ちょうど時期的に大手マスコミ(テレビ・新聞)が「ロレックス高騰」などと煽っていた時期と重なるので、ワイドショー受けの良い高級時計=けしからん的報道のひとつだと僕は考えます。

要は「作り上げられた対前年増」だと僕は考えています。最前線にいる(時計売場)店員さんからしてみれば、「増えた減った」の話をすること自体ナンセンスと言われそうです。

趣味こそ、こんな時代を勝ち抜く術?

もう一つ同調できない意見をあげるとすれば、コレクターに対する世間の見方です。日本ではコレクターや愛好家を奇異の目で見る人たちが数多く存在します。

例えばアニメや漫画コレクターはオタク、絵画や骨董品収集家は成金、というような具合です。

https://www.pexels.com/ja-jp/photo/3771091/

確かに趣味に情熱を注ぐ事は興味が無い人たちにとっては理解できない事でしょう。だからといって否定するものでは無いと僕は考えます。むしろ趣味やくだらない事から新たな産業イノベーションが発生するのです。

それゆえ僕は趣味こそ、この時代最も大事にしなければならない事柄だと思います。多様性こそが重要なのです。昭和の時代は趣味など持たず仕事に専念する人ほど素晴らしいと、周囲からは賞賛されていました。

そんなのは過去の遺物。平均寿命が短い時代ならいざ知らず、定年退職後の人生が全く無趣味であることほど、つまらない物はありません。高齢化社会こそ個人の趣味を充実させる必要があると考えています。

意外に売れていなかった2021年

https://www.hankyu-dept.co.jp/honten/information/watch/01/00931036/?catCode=101002&subCode=102022

さて時計以外の話が長くなりましたが、タイトルの老舗百貨店の60回無金利ローンは阪急百貨店 うめだ本店の話です。そもそも阪急百貨店の時計売場で分割無金利ローンはこれまで僕が知る限り、24回が最長でした。

それが60回無金利!これはそれだけコロナ禍で時計が売れていなかった証です。時計好きの人は知っていますが、マスコミが報道するほど腕時計は売れていません。だって売るモノが無い状態が続いていましたから。

最悪だった前年同月比から上がるのは当たり前。スイスではパンデミックでは国境を超える移動が禁止になりフランス・ドイツからの職人や社員が入国不可で、生産ができくなっていました。

そんな状態から2021年4月にウォッチ&ワンダージュネーブで、各ブランドは新作発表をできるまでに生産量が回復しました。

ただこれも国内に本格的に入荷したのはその2ヶ月後位からだったと記憶しています。が、その新作発表直後、国内では緊急事態宣言になってしまいました。

新作発表で日本国内でもいよいよ本格稼働かと思いきや(2021年4月25日)の緊急事態宣言は愛好家メーカー共に痛手だったはず。同年6月20日に宣言解除になるものの、再び7月に宣言が再発令されます。

路面店のブティックはそれなりに営業していたもの、百貨店へ入居しているブティックは当然休業でした。結局コロナ禍の緊急事態宣言で最も打撃を受けたのは何だかんだ言って百貨店でした。

そして2021年の秋から冬を迎える直前になって、やっと国内のラグジュアリーショップは通常運転状態へ戻ることができるようになったのです。

値上げしたけれど、世界的にみればまだまだ安い国内時計正規価格

件の阪急百貨店も11月になり、隣接する阪急メンズ館でブランパンやIWCのポップアップストアを期間限定で開催しました。これも開催の意図は実機に触れて、購入意欲の喚起と新規ファンの掘り起しでしょう。

内外に目を向ければ諸外国は自国の観光客受け入れに前向きです。観光立国と言ってきた日本もそろそろ「外圧に負けて」海外からの観光客を受け入れる日も近いでしょう。

そうなると以前のように国内のブティックに再びチャイナ・ツーリストが押し寄せる日も迫っています。

それもで国内の正規価格は諸外国と比べかなり低く推移していました。そのため2021年になりヴァシュロン、ジャガールクルト(リシュモン)、AP、ロレックスなどが国内定価を値上げをします。過去記事参照

ただこれは世界的な値上げの一環であることは間違いありません。

しかし値上げしたとはいえ、また諸外国と比べ低い状態は変わりません。あくまで日本の値上げ率をいくぶん大きくして、他国との差を幾分縮めただけなのです。

上のInstagramシンガポールの正規価格サブ・ノンデイトは11,890SID(¥998,760 1SGD=¥84で計算)に対して日本は¥897,600で差額で¥101,160の差。両国値上げ後でもこれほどの差があるのです。

2021年年末にかけては近年稀に見る腕時計購入のチャンス!

https://www.pexels.com/ja-jp/photo/5926463/

何が言いたいかと言えば、この11月から1月初め頃にかけてが、腕時計購入の最大のチャンスであるという事です。まず百貨店はこれまでの損失を取り返すべく、阪急のような大々的なキャンペーンを展開してくるでしょう。

そして国内では海外ツーリストが減少しているため、在庫もそこそこある。この後2022年1月末から2月にかけての「春節」に合わせて海外からの渡航解禁になると、僕は予想しています。

もし今行われている(他府県はわかりませんが)キャンペーンに乗らないで2022年を迎えると、再び外国人たちにお買い得な日本の腕時計を買い漁られる可能性が非常に高いと僕は考えています。

スウォッチグループの値上げ前ゆえのチャンス?

そして僕が考えるもう一つの「チャンスの理由」が、スウォッチグループが未だに値上げをしていないからです。

2021年夏にブランパンブティックでスウォッチグループJの社員さんから「今年値上げしていないからお得ですよ」と言われた事を僕は忘れられません。

東京オリンピックの公式時計だったオメガはオリンピックの延期により実は値上げできなかった状況なのではなどと、僕は推測しています。

2021年11月時点では値上がりの情報は正式に出てないので、「そろそろなのでは」と気が気ではありません。ただ、2022年2月には北京冬季オリンピックが始まるので、彼らの値上げはもう少し先かも知れませんね。

まとめ

未曾有のコロナ禍が終息に向かい、百貨店と日本国内の売上は良くなくスウォッチグループも値上げ前である。この事が2021年年末にかけて腕時計購入を推奨する大きな理由です。

それ以前の経済危機2008年9月のリーマンショックでも円高により時計価格が下がり購入しやすかった時期がありました。

あの時僕はもっと時計を購入しておけばと、常々後悔していました。その経験があるからこそ、このチャンスを逃したくないと考えています。今回を逃せばまた20年間時計を購入できないかも知れません。

買える買えないは人それぞれ。しかしもし買える状況にある人は2021年の秋冬はチャンスだと思います。ぜひ時計売場へ足を運んでください。

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